米3冠ロードの注目馬たち

 5月第1土曜日(今年は5月7日)に行われるケンタッキーダービーまで100日を切り、1月29日には2015年の米国エクスペリメンタルフリーハンデ(2歳フリーハンデ)が発表になりました。

 牡馬の首位はBCジュヴェナイルまで5連勝中のナイキスト(父アンクルモー、ダグ・オニール厩舎)。レーティングは例年、牡馬のトップホースに与えられる126で、128だった父よりは下でした。牝馬はBCジュヴェナイルフィリーズまで4戦全勝のソングバード(父メダグリアドーロ、ジェリー・ホーレンドルファー厩舎)。牝馬1位馬の基準値である123に+2の125でトップに立ちました。

 エクスペリメンタルフリーハンデが発表されるようになった1935年以降、牝馬で125以上がつけられた馬は2歳重賞フューチュリティSで牡馬を一蹴し、のちにケンタッキーダービー馬となるジェットパイロットを破った1946年のファーストフライト(史上最高の126)と1997年のBCジュベナイルフィリーズを8馬身半差で勝ったカウンテスダイアナ(125)しかいません。ソングバードはそれほど抜けて強かったと言うことです。

 ソングバードの父メダグリアドーロはゼニヤッタと並ぶ近年屈指の名牝レイチェルアレクサンドラ(3冠競走のプリークネスSに優勝)の父であり、距離延長は苦にしません。米国競馬マスコミもソングバードの動向を注視しており、ケンタッキーダービーをめざす可能性も大いにありそうです。

 牡馬戦線はナイキストを筆頭に勢力図が形成されていますが、これ以外にも2013年生まれ世代は粒がそろっています。将来性が認められる2頭を紹介しておきましょう。

 まずは昨年、アメリカンファラオで3冠を制したボブ・バファート厩舎のモアスピリットです。父はエンパイアメーカーと入れ替わるように日本に輸入されたエスケンデレヤ。エスケンデレヤはジャイアンツコーズウェイ産駒で3歳になって本格化し、重要前哨戦のG1ウッドメモリアルSで後続を9馬身3/4ちぎった大物でした。けがで出走はかないませんでしたが、ケンタッキーダービーの最有力馬に挙げられた馬で、モアスピリットは、その初年度産駒です。

 この血を色濃く引くモアスピリットの2歳時成績は4戦2勝、2着2回。競馬ぶりはまだ粗削りながら、12月のG1ロスアラミトスフューチュリティでは直線であっという間に先行馬をかわして大器の片りんをのぞかせました。鞍上はベテランのゲイリー・スティーヴンス。素質ではナイキストに勝るとも劣らないものを秘めており、名伯楽に2年連続の3冠を贈る可能性もありそうです。馬名の一部の「MOR」はMiddle-Of-the-Road略語。「中道の精神」とでも訳せばいいのでしょうか。良い名前です。

 もう1頭はモハイメンという芦毛馬です。チャンピオンサイアーのタピットを父に持ち、2歳時に3連勝。1月30日のG2ホーリーブルSでも単勝1・2倍の人気に応えて楽勝しました。この馬のすごいところは、まだ本気を出していないところです。鞍上のジュニア・アルバラードもむちを使う場面はなし。どれほど強いのかって(笑い)。オーナーはUAEのハムダン殿下でキアラン・マクラーリンの管理馬。一昨年のキーンランドセプテンバーセールで220万ドル(約2億6400万円)もした高馬ですから、これくらい走っても当たり前かも知れませんね。3歳初戦を無事に通過したことで、ケンタッキーダービーにまた1歩、近づいたとも言えそうです。

 ソングバードは牝馬限定戦からスタートするようですが矛先を三冠路線に向けるようなら、オトコ相手でも通用するはず。広い米国だけにこの他にもまだまだ逸材が隠れているかもしれません。

(ターフライター奥野庸介)

 

※レース結果等は2016年2月4日現在のものです。海外馬券発売の開始時期や発売対象レース、発売賭け式、発売方法等については予定です。