速い流れを早めに動くルメールの技/フェブラリーS

<フェブラリーS>

カフェファラオが、力でライバルをねじ伏せた。ルメール騎手はレース後「アグレッシブな競馬をしたいと思っていた」と話したが、その言葉通りスタートから仕掛けてポジションを取りにいった。逃げたワイドファラオ、エアアルマスの前半1000メートルは58秒5。先行馬には厳しい流れだが、ルメールは3角手前で早くも動いた。

コーナーに入る前3、4番手のヘリオス、オーヴェルニュを内からかわして3番手。積極的に前へ出た。ペース的にはきついが、あのまま動かなければ、外から押し込まれて一列後ろに下げられたかもしれない。もまれた経験が少ない同馬には得策ではない。馬群でスムーズさを欠くより、早めに動くリスクの方を選択した。これもカフェファラオの能力を信じていたからできたのだろう。

もう1つ、さすがだと思ったのは、下手に流れをせき止めず、後続に脚を使わせたことだ。直線を向いてすぐアルクトスが並びかけてくると、追いだしを待たずに突き放した。人気馬が早めに動けば、追い込みの有力馬も差を詰めにいかざるを得ない。脚をためる機会を与えずに、他馬の切れ味を鈍らせた。単純な前崩れの展開では後ろが届く。速い流れでも上がりは35秒台。この微妙な「出し入れ」が、初G1制覇を引き寄せたといえる。

ルメールが「道中は結構忙しかった」と振り返ったように、体力を削られる流れ。普通なら5番手につけた時点で、脚を残すため折り合いに専念する。それを先行して早めに動いた。馬の気性、展開などさまざまな状況を見極めて臨機応変に対応する。これをできるのが名手のすごさだ。

C・ルメール騎手のムチに応えて伸びたカフェファラオ(中央)がフェブラリーSを制す(撮影・丹羽敏通)
C・ルメール騎手のムチに応えて伸びたカフェファラオ(中央)がフェブラリーSを制す(撮影・丹羽敏通)