【コラム】サークルオブライフ名門千代田牧場、来春も黄色の勝負服が沸かす

<坂口正大元調教師のG1解説>

<阪神JF>◇12日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇2歳牝◇出走18頭

サークルオブライフ、命の輪です。母も、母の母も同じ千代田牧場の生産馬です。名門牧場が大事にしてきた牝系から、スターホースが誕生しました。

まだキャリアの浅い2歳牝馬ですから、持てる力を出せるかどうかが第1関門です。輸送で馬体を減らした馬もいた中で、前日土曜に阪神入りしたサークルは前走から増減なしでした。環境の変化に動じない、その性格を名門・国枝厩舎が熟知していました。アパパネなど馬によっては栗東滞在も積極的に活用してきた厩舎ですから、サークルは前日で大丈夫と見極めての輸送だったのでしょう。

新馬戦からずっと手綱を取るM・デムーロ騎手も手の内に入れていました。ズブい面もあるとはいえ、追えばしっかり脚を使うと分かっていました。ペースが上がらなくても慌てず、中団の後ろから外を回して、しっかり追ってきました。弟のC・デムーロ騎手が来日するなり大活躍ですが、刺激を受けた兄がG1で存在感を示しました。

黄色の勝負服を見て私も懐かしい思いでした。02年阪神JFを勝った私の管理馬ピースオブワールドと同じです。オーナーはピースが飯田正さん(故人)で、サークルは息子の飯田正剛さんですが、勝負服は継承されました。かつてニッポーテイオー、タレンティドガールというG1馬のきょうだいを生産した名門牧場です。来春も黄色の勝負服が躍動すると期待します。

2着ラブリイユアアイズは10キロ減でしたが、団野騎手が積極的な運びで力を引き出しました。海外修業からの帰国後、活躍が目立つホープです。武兄弟のタッグで注目されたウォーターナビレラは3着でしたが、好位から完璧な競馬でした。センスは非凡ですし、あれで差されたのなら仕方ありません。順調に成長すれば春が楽しみです。

最後に4着のナミュールですが、外枠で1頭だけ大きく出遅れ、馬場の悪い内を通りながら上がり最速の脚を使いました。能力は相当ですし、桜花賞の最有力候補と言っていいでしょう。(JRA元調教師)

02年阪神JFを勝ったピースオブワールドも勝負服は同じです
02年阪神JFを勝ったピースオブワールドも勝負服は同じです
サークルオブライフで阪神JFを制しガッツポーズで引き揚げるM・デムーロ騎手(撮影・白石智彦)
サークルオブライフで阪神JFを制しガッツポーズで引き揚げるM・デムーロ騎手(撮影・白石智彦)