【コラム】グランアレグリアも強いが鞍上ルメールも最強だった

<坂口正大元調教師のG1解説>

<ヴィクトリアマイル>◇16日=東京◇G1◇芝1600メートル◇4歳上牝◇出走18頭

グランアレグリアは昨年、安田記念、マイルCSと牡馬を相手にマイルG1を2勝しています。その最も得意とする芝1600メートルで、牝馬同士の定量戦となれば、負けるところがありません。楽に走った感じでレコードに0秒5差の1分31秒0、後続に4馬身差。力が違いすぎました。

ルメール騎手はスタート後の早い段階でアレグリアを馬群の外へ導きました。多少の距離ロスは覚悟の上で、まずは前の馬にじゃまされない進路を確保。直線に向いても慌てず、追い出しをじっと我慢してから仕掛けました。負けようのないレース。そう言っても過言ではありません。

NHKマイルCのシュネルマイスターに続き、ルメール騎手は2週連続のG1勝利です。言わずと知れた名手ですが、特に東京は上手ですね。この2連勝のようにしっかりためて、長い直線で末脚を生かすのはもちろん、17年ダービー(レイデオロ)のような、道中で動く大胆な騎乗もあります。アレグリアも強いですが、鞍上も最強でした。

藤沢和師は来年2月末の定年まで1年を切っています。ある程度整理に入っている“最終年”にG1を勝つ、なかなかできないことです。また、わずかな期間しか預かれない2歳馬にも素質馬がそろっているようですし、師の人間性と実績を各馬主さんが信頼されている証明でしょう。

2着ランブリングアレーは馬群の中から外へうまく立ち回りました。馬は昨夏から充実一途ですし、鞍上の吉田隼騎手も脂がのっていますね。今回は相手が悪すぎましたが、いい競馬でした。6着レシステンシアは折り合っているように見えましたが、粘りを欠きました。今回の競馬を見る限り、今はもう少し短い距離の方がいいのかもしれません。(JRA元調教師)

グランアレグリアが後続に4馬身差を付け圧勝、ヴィクトリアMを制した(撮影・酒井清司)
グランアレグリアが後続に4馬身差を付け圧勝、ヴィクトリアMを制した(撮影・酒井清司)