ダノンスマッシュ不安の道悪苦にせず 6歳の本格化

<坂口正大元調教師のG1解説>

<高松宮記念>◇28日=中京◇G1◇芝1200メートル◇4歳上◇出走18頭

20代前半で横綱になる力士もいれば、30歳を過ぎて初めて三役に昇進する力士もいます。馬も同じです。2歳、3歳から活躍する馬もいれば、5歳、6歳で本格化する馬もいます。ダノンスマッシュはまさに後者のタイプ。5歳の秋に香港でG1初制覇を果たし、6歳にしてJRA・G1初勝利。強くなりました。

陣営は戦前、良馬場でやりたいとコメントしていました。昨年の高松宮記念も重馬場。3番人気で10着に敗れています。道悪は割引と考えていたのでしょう。ところが、中団の外で待機したスマッシュは、直線で前が開く少しの幸運もありましたが、上がり最速タイの末脚で差し切りました。

厩舎サイドが思う以上に悪い馬場をこなせる状態になっていたのです。弱かったところが丈夫になり、全体に良くなっていたのでしょう。去年と今年、同じ重馬場発表で、同じようにモズスーパーフレアが逃げる展開で、勝ち時計は1分8秒7と1分9秒2。今年の方が馬場は悪かったはずです。それを苦にしないだけの力をつけていました。

加えて、やはり1200メートルの馬ですね。1400メートル、1600メートルも使っていますし、結果を出したレースもありますが、この馬はスプリンターの印象です。父ロードカナロアはマイルの安田記念も勝って評価を高めましたが、香港、今回に続いて安田記念の父子制覇にもう1度挑むのか、1200メートルに専念するのか、今後のローテも楽しみです。

2着レシステンシア、3着インディチャンプはともにマイルG1馬で、初の芝1200メートル戦。さすがの地力を見せました。レシスにとっては1分7秒台の速さ比べが理想だったと思いますが、速力をそがれる馬場でもよく頑張りました。内をついたインディの末脚も見事。選択肢が広がりました。(JRA元調教師)

川田将雅騎手騎乗のダノンスマッシュ(右)がレシステンシア(左)との叩き合いを制した
川田将雅騎手騎乗のダノンスマッシュ(右)がレシステンシア(左)との叩き合いを制した