チュウワウィザード、対ベリルへ戦法変更が奏功

<坂口正大元調教師のG1解説>

<チャンピオンズC>◇6日=中京◇G1◇ダート1800メートル◇3歳上◇出走16頭

秋G1での1番人気馬の連勝は、今回も続くと思っていました。競馬に絶対はありません。ですが、クリソベリルが敗れるシーンは想像できませんでした。強い馬が強い競馬をする、これが競馬の醍醐味ですが、伏兵馬が人気馬を打ち負かす。これも競馬です。

クリソベリルの馬体重は12キロ増の554キロでした。2桁の増減は大きいですが、もともと超のつく大型馬です。昨年のこのレースを勝った時と比べてもわずか4キロ増で、大きな影響があったとは思いません。外枠に関しても、1コーナーこそ少し外を回りましたが、好位につけてからは大きなロスはありませんでした。ただ、少し行きたがっていたのは確かです。加えて、全馬がクリソベリルを意識して競馬をしていました。そのプレッシャーはあったと思います。

最大の敵を最もうまくマークして、とらえたのがチュウワウィザードでした。過去3度対戦して、すべて敗れています。同じことをしても勝てない。これまでの好位戦ではなく、今回は中団待機を選択しました。目標はすぐ前。直線では外から、ねじ伏せるようにして前へ出ました。いつも通りの競馬をしたクリソベリルと、対クリソベリルの競馬をしたウィザード。戦法の変更が奏功しました。

鞍上の戸崎騎手は落馬負傷により長く休んでいました。休養前にはルメール騎手とリーディングを争っていた名手です。よく戻ってきました。まだ40歳。50歳を過ぎた武豊騎手がバリバリ勝っているのですから、戸崎騎手もまだまだこれからです。またトップに立つ日が必ず来る。そのきっかけが今回の勝利でしょう。完璧なエスコートで「戸崎ここにあり」を示しました。(JRA元調教師)

チャンピオンズカップを勝利し、引き揚げるチュウワウィザードと戸崎圭太騎手(撮影・森本幸一)
チャンピオンズカップを勝利し、引き揚げるチュウワウィザードと戸崎圭太騎手(撮影・森本幸一)