長距離で切れる、ディープ産駒ステイヤー/天皇賞

<天皇賞・春>◇3日=京都◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走14頭

長距離で切れる。ルメール騎手もそんな表現をしていましたが、なかなかこういう馬はいません。それがディープインパクト産駒のステイヤーなのでしょう。フィエールマンは後方から外を回って差し切りました。1000メートル通過は63秒0とスロー。4コーナーではまだ前とかなりの差があり、届かないかと思いましたが、鼻差かわしました。切れ味が違いましたね。

昨年の有馬記念以来というローテもまったく問題ありませんでした。もともとが走ってはひと息入れて、という使い方をしている馬です。5歳春の今回でまだ10戦目。非常に少ないキャリアです。弱かった部分もあったと思いますが、3歳の1月にデビューしながら、春クラシックに無理やり間に合わせるような使い方をせず、陣営と牧場がじっくりじっくり、成長を待ちながら育ててきたことが、充実の要因でしょう。

それにしてもルメールというジョッキーはすごいですね。天皇賞は4連勝ですか。派手さがないのに、これだけ勝っている。それがすごさでしょう。逃げや追い込みという極端な競馬が少なく、多くは好位や中団から4角でいい位置にいる競馬です。そのポジションを取るのも、道中で折り合わせるのも技術ですし、追い出しのタイミング、進路取りもそう。いい馬にいい騎手が乗ると、よりその馬は走るということです。

2着スティッフェリオは春の盾に強い父ステイゴールドの血が騒いだのでしょうか。低評価を覆す健闘でした。前走の日経賞でも差す形で結果を出し、充実の兆しを見せていましたので、次がより楽しみです。

ユーキャンスマイルはロスなく運んで直線も内へ。上手なエスコートだったと思いますが、この日の傾向として、馬場の外側とは伸びに若干の違いがあった印象です。キセキはスタートこそ出ましたが、途中で動いてハナに立った後、意外に粘れませんでした。難しい面が強くなっているのかなと感じました。(JRA元調教師)

天皇賞・春を連覇したフィエールマンを労う鞍上のクリストフ・ルメール騎手(撮影・白石智彦)
天皇賞・春を連覇したフィエールマンを労う鞍上のクリストフ・ルメール騎手(撮影・白石智彦)