アーモンド発熱影響ない 敗因分からない/有馬記念

アーモンドアイがあんな負け方をするとは、夢にも思いませんでした。最後の直線は苦しがり、内にもたれていました。単勝1・5倍で9着。すぐには受け入れがたい結果です。

逃げたアエロリットの1000メートル通過は58秒5。速いペースでしたが、2番手以降は離れていましたし、中団のアーモンドは普通のペースだったはずです。後ろにいた馬たちに目標にされた面もありますが、それにしても負けすぎです。

香港遠征を回避する原因となった軽い発熱についても、私は大きな影響があったとは思いません。長く調教師生活を送った経験から言うと、馬場入りを1日休んだ程度なら、あれほど負けるような状態にはなりません。正直なところ、明確な敗因はわかりません。今はただ、来年もう1度、強いアーモンドアイが見たいという思いだけです。

勝ったリスグラシューは強い競馬でした。今回のメンバーで5馬身差は驚きです。1つの勝因は、レーン騎手が内ラチ沿いの経済コースを走らせたこと。コーナーを6つ回る有馬記念において、距離ロスを抑えることは重要です。6つ目の最終コーナーを回りきってから、外へ出して突き抜けました。中山では初騎乗だったようですが、長年、ここで乗ってきたのかと思うほど理想的な運びでした。

それを可能にしたのは、矢作師が枠順抽選会で引き当てた3枠6番という好枠でしょう。調教師が引き寄せた運を、騎手が最大限に生かしました。今回は特例での1日免許でしたが、ファンが注目する有馬記念、しかも引退レースです。この人馬が見たいというファンも多かったでしょうし、尽力した矢作師、認めたJRA、そして起用に応えたレーン騎手に拍手です。

2着に入ったサートゥルナーリアは、アーモンドをかわせば勝てるという競馬をしました。敗れましたが、強い競馬でした。陣営の工夫もあり、今回はゲートまで落ち着いていました。イレ込まなければ、走る馬です。ワールドプレミアは最後方から大外を回って、3着まで来ました。相当に強くなっています。この3歳牡馬2頭は来年が非常に楽しみです。(JRA元調教師)

有馬記念9着のアーモンドアイとルメール騎手(撮影・鈴木正人)
有馬記念9着のアーモンドアイとルメール騎手(撮影・鈴木正人)