メイケイエール「ファンレターの数えぐい」強さともろさが同居、屈指のアイドルホースの魅力に迫る

愛さずにはいられない!? 今週の京王杯スプリングC(G2、芝1400メートル、14日=東京)に出走予定のメイケイエール(牝4、武英)は、G1未勝利ながら競馬界屈指の人気を集める。連載「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」では、大阪の太田尚樹記者が、管理する武英智調教師(41)を取材、アイドルホースの魅力に迫った。

   ◇   ◇   ◇

日本中からエールが届く。厩舎のポストには毎日のように手紙やお守りが送られてくる。宛先はメイケイエール。開業5年目の武英師はメッセージのすべてに目を通し、自ら返事も書く。受験勉強中の女子学生に「エールちゃんにエールをもらってます」と感謝されたこともあるという。人々を元気づけるアイドルだ。

「ファンレターの数はえぐいですよ。レースの前になると、みなさんが『けがなく無事に』とお守りを送ってくださる。これだけ思ってもらえる馬は、そうそういないと思います」

容姿も端麗だ。まぶたからこぼれそうなほど大きな瞳。少し曲がった白い流星が、整った顔立ちにアクセントを加える。さらにファンの心を引きつけてやまないのが、その性格だろう。

「人間でも『手がかかる子の方がかわいい』って言いますもんね。顔もべっぴんさんですし、そのあたりが人気なんだと思います」

不器用なのが魅力なのかもしれない。池添騎手いわく「難しい女の子」。キャリア10戦【5 0 0 5】の成績が示す通り、強さともろさが同居する。その走りっぷりから荒い気性と勘違いされがちだが、実際はまじめ一徹。一生懸命すぎるがゆえに、レースで前に他馬がいると「抜かさなきゃ」と夢中で走り、制御が利かなくなってしまうようだ。

重賞4勝を挙げて「ポテンシャルはG1級」(武英師)と分かっている。だからこそ、苦悩しながら試行錯誤を続けてきた。今年に入って折り返し手綱やパシュファイヤーの馬具が効果を見せ、地道に我慢を教えてきた成果も表れてきた。今回は将来の選択肢を増やす目的もあり、満を持して距離を延長する。

「馬混みで我慢できるようになってきているので、慎重に1400メートル、1600メートルと延ばしていけたら。オーナーやジョッキー、担当者の思いがなんとか報われてほしいです」

けなげな走りが報われる日を楽しみに待ちたい。

【太田尚樹】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)

馬房でリラックスするメイケイエール
馬房でリラックスするメイケイエール
武英師が手にするお守りに興味津々のメイケイエール(撮影・白石智彦)
武英師が手にするお守りに興味津々のメイケイエール(撮影・白石智彦)
メイケイエールの運転免許証のようなお守り
メイケイエールの運転免許証のようなお守り