ソダシとの触れ合い「かわいいなと思う」今浪厩務員

先週の阪神JFで新たなスターが誕生した。白毛馬のソダシ(牝2、須貝)が鼻差の大接戦を制し、白毛馬としては世界初のG1馬となった。今回の「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」は大阪・岡本光男記者が、レースから一夜明けたソダシと担当・今浪隆利厩務員(62)の様子をリポートする。

冬至が近いため、午前6時前でもまだ夜明けが遠いなか、阪神JFを制したばかりのソダシの取材へ向かった。対応してくれたのは担当の今浪厩務員。既視感を覚えるのは、今浪さんがゴールドシップの担当者だったからだろう。記者はよくゴールドシップがG1を勝った翌日に取材した。

「いやー、よく勝ってくれたよ」。ベテラン厩務員はしみじみと話し始めた。

レース直後、今浪さんは「正直、2着かと思った」という。ゲートまで同行した厩務員はバスに乗って検量室に戻る。その中にある小さなモニターで観戦するため、レースの様子があまり見えないのだ。

確かに少しだけサトノレイナス(2着)が前に出た瞬間があった。だが、純白の馬体はゴール寸前で前へ出ていた。「浩平(北村助手)が『大丈夫、大丈夫』と言っていたし、検量室の掲示板の1着のところに『6』と書いてあったから、ああ勝ったと思った」と胸をなでおろした。同時に「よく差し返した。本当、いい勝負根性をしている」と愛馬の精神力に感謝した。

今浪さんはいつも担当馬の気持ちを大事にする。ゴールドシップ担当時は、よくタオルをかませて遊んでいた。「ストレスをためることが多い子だから」と。ソダシとふれあう時間も大切にしている。「朝、出勤すると僕の顔をじーっと見てくる。服の袖をかんだり顔をこすりつけてきたり、そんな時はかわいいなと思う。同じことを(ゴールド)シップでやろうとしたら、一発でぶっとばされてたよ(笑い)」。あのタオルは緩衝材的な存在だったのだ。

そんなソダシもさすがに疲れが見えるという。「まずはリフレッシュして、来年に備えてくれたら」。今浪さんは今でもG1前には強いプレッシャーを感じるという。しばらくは、それからも解放されそうだ。【岡本光男】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)

白毛馬初のG1馬となったソダシを担当する今浪厩務員は1面を飾った日刊スポーツ紙面をかかげる
白毛馬初のG1馬となったソダシを担当する今浪厩務員は1面を飾った日刊スポーツ紙面をかかげる