姫路は新しくて懐かしい 7年半ぶりレース再開

“ひめじ”に歓声が戻ってきた! 今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、今月15日から7年半ぶりに再開した兵庫県・姫路競馬場を取り上げる。売り上げの低迷など廃止の危機を乗り越え、再出発を果たした姫路競馬場。全国の競馬ファンが詰めかけた再開初日に密着した。【取材・構成=園田・姫路競馬担当・松本健史】

12年8月30日の開催を最後に休止していた姫路競馬場で、15日から7年半ぶりにレースが再開された。当日は再開を待ちわびたファン200人が開門前から列をつくり、特別観覧席(定員121人)は開門後1時間で完売するなどファンが殺到。入場者数2990人、売り上げは4億7140万8000円と上々のスタートを切った。寺内三夫姫路管理事務所所長は「想定以上のお客様にお越しいただき、驚いております」と感謝を述べた。

姫路競馬は12年の開催を最後に、近くを流れる船場川の氾濫に備え、調整池を競馬場内に整備するために中断していた。ただ、売り上げ面の問題もあった。最も売得金額が落ち込んだ10年の姫路の売り上げは、バブル期(90年)の約10分の1、入場者数もピークだった81年の約16分の1まで減少。存続の危機にあった。

兵庫で10年以上、調教師会会長を務める中塚猛師(69)は「姫路は園田に比べると集客が見込めず、賞金も半分ぐらい。使う馬が少なく“負のスパイラル”状態だった」と低迷していた当時の状況を振り返る。兵庫県では10年からの5年間を「競馬事業の存廃見極め期間」とし、姫路だけでなく園田競馬も廃止問題に直面していた。

ただ、そんな苦境に“追い風”が吹いた。12年10月からJRAインターネット投票で地方競馬の馬券を購入できるようになった。売り上げは好転。13、14年と連続して黒字を計上し、存続が決まった。さらに中塚師は「姫路を廃止すれば兵庫県競馬の印象が悪くなるし、知事が“競馬は文化”と認めてくれたことも大きかった」と振り返る。工事が完了した今年、満を持して姫路競馬は再開した。

昨年4月にスタンドがリニューアルされ、7年半前とは様変わりしているが、当時と変わらないものもある。その1つがパドックにある手書きの出馬表。馬名や馬体重を黒板にチョークで書くというノスタルジックな光景は、ファンの反響が大きい。兵庫の元トップジョッキー、木村健調教師(44)も「懐かしいね。人も入っているし、いい雰囲気」と目を丸くしていた。

今年の開催期間は2月6日まで、毎週火~木曜の計12日間だけだが、来年以降も冬場に行われる予定。これから姫路競馬は、兵庫の「冬の風物詩」として認知されていくことだろう。ぜひ1度、姫路競馬場へお越しください。

多くのファンであふれた姫路競馬場のスタンド
多くのファンであふれた姫路競馬場のスタンド