ノーザンF吉田勝己代表「日本馬は世界一強い」

香港国際競走(HKIR)を1週間、デモに揺れる現地で取材した。G1番記者「キナミの帝王~日本でも香港でも」を反省しつつ、振り返る。

◆ヴァーズ予想 ◎ディアドラは4着。2400メートルの距離で好位を奪う展開を期待したが、向正面で最後方。直線よく伸びたが・・・。△グローリーヴェイズは美浦で行った27日国内最終追い切りでアーモンドアイと併せ馬。最強牝馬に最後まで抜かせなかった走りが今思えば絶好調の証しだった。

◆スプリント予想 地元関係者の誰もが認めていた◎エセロは粘り切れず3着。1分8秒台なら楽に逃げ切れるはずだったが・・・。前哨戦の51キロ→53キロが響き、G1特有の厳しいプレッシャーがあったか。国際競走の難しさを痛感した。

◆マイル予想 ◎カーインスターは軽快にハナに立ったが、最後は失速して9着。ティータン騎手の期待の大きさを聞いていただけに「ガッカリ」の言葉にはうなずくしかない。△アドマイヤマーズは水曜の最終追い切りでストライドが大きく、好調さは感じていたが・・・。3連覇を狙った○ビューティージェネレーションは3着。王者も衰え、世代交代は必ずやってくる。ノーザンファーム吉田勝己代表を直撃。

キナミ 今年は海外で勝ちまくりでしたね。結果が出なかったのは凱旋門賞くらいでしょうか?

吉田勝己代表 日本馬は間違いなく世界一強いですから。

◆カップ予想 地元香港馬、外国馬の調教を連日見てきた。強気な陣営もあったが、どう見ても◎ウインブライトの方がいい馬だった。「絶対勝てますよ」と余計なことを口走ってしまったが、畠山師は笑顔で聞いてくれた。自分を海外競馬の世界へいざなってくれたのは松岡騎手。クイーンエリザベス2世Cを勝った日の夜、「暮れは応援に行きます」とメールを送った。すぐ返信はあった。「オッケー」。シャティンの場内は歓声が飛び交い、同騎手は笑顔で何度もその声援に応えた。鳥肌が立った。2着▲マジックワンド、3着○ライズハイ。取材は生きたと思う。

◆阪神JF 「(17年3着の)マウレアより上の着順を狙える」と手塚師は△マルターズディオサを評していたが、木曜発表馬体重が前走からマイナス2キロ。直前輸送もあり、◎を打ち切れなかった。最高級の◎ウーマンズハートは4着。初の右回りが響いたか。○レシステンシアは逃げて最速上がりをマーク。ただ、上がり3ハロン35秒2は例年になく異質な消耗戦。桜花賞当確までのインパクトは受けなかった。

◆香港情勢 学生と警官が衝突した競馬場近くの中文大学の構内を歩き、尖沙咀(チムサーチョイ)を歩き、8日はレース終了後、大規模デモのあった銅鑼湾(コーズウェイベイ)を歩いた。至る所に落書きがされ、張り紙がされていた。警官隊が要所に立ち、物々しさはあったが、身の危険を感じることはなかった。高木デスクの指示で香港島の有名な風俗ビルも見てきたが、普通に営業していた。このまま香港市民が納得する態勢になり、平穏な日々が続いてほしい。日本でも香港でも競馬は難しいことを痛感した週末だった。

香港カップを制したウインブライトの畠山師と木南
香港カップを制したウインブライトの畠山師と木南