マスターフェンサー 米3冠最古ベルモントS獲りへ

ケンタッキーダービー6着のマスターフェンサー(牡3、角田)が“歴史的豪脚”で快挙達成を狙う。8日(日本時間9日朝)の米3冠最終戦ベルモントS(G1、ダート2400メートル、ベルモントパーク)で日本調教馬による米国ダートG1初制覇に挑戦する。連載「ケイバ・ラプソディー」で、アメリカンドリームを追う。【取材・構成=太田尚樹】

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全米が驚いた。米国人1800万人がテレビ観戦したというケンタッキーダービーで、日本代表マスターフェンサーが破格の末脚を披露した。最後方から追い込んで日本調教馬過去最高の6着。勝ち馬に0秒32差まで迫った。ラスト2ハロン24秒60はメンバー最速だっただけでなく、最近5年の出走馬でNO・1。ルパルー騎手も「最後は非常にいい脚」とたたえた。

角田師 テンが速くてついていけなかったけど、うまくいけば2着や3着もあった。直線で外へ持ち出そうとして(進路がなく)引っ張って内へ入れ、そこで挟まれたけど、ひるまずに伸びてくれた。

現地での評価も急上昇中だ。下馬評では3番手グループの一角として位置づけられ、米ブックメーカーのUSレーシングの前売り単勝オッズは7番人気の12倍だが、3番人気(9倍)と大差はない。「距離が延びてもいいと思う」と見込む鞍上も含め、陣営も勝算を持って挑む。

角田師 前走後もケロッとしてたみたい。(2冠目のプリークネスSを見送ったのは)中1週、中2週でしんどくなるから。距離はこなせると思う。ジョッキーも2回目で、エンジンのかかりが遅いのが分かったはず。砂の質は日本のダートに近いと聞いている。

決して「日本一」ではなかった。調教では未勝利馬にも負ける。国内ではダートに限っても4戦2勝。UAEダービーには選出されず、ケンタッキーダービー出走権をかけたポイント争いも4位だったが、上位3頭の辞退で出走がかなった。異国で素質を開花させ、ビッグな夢をかなえようとしている。

角田師 適応能力がずばぬけて良かった。最初は環境の変化に戸惑ったけど、今はたくましくなって動じない。装蹄師や獣医師も現地で任せてるし、あらゆる面で日本と違うけど順応してくれた。精神的にタフでないと。日本のダートで走るから通用するとは限らない。オーナーの勇気ある決断。今年の(日本の)ダービーもそうだったけど、出ないことには勝てない。競馬に絶対はないから。

歴史的快挙への挑戦に、かつて騎手としてダービーなどG1・10勝を挙げたトレーナーも胸を高鳴らせる。過去150回で米国調教馬以外の勝利は90年ゴーアンドゴー(アイルランド)だけ。前走以上のサプライズへ、世界の中心ニューヨークで高い“フェンス”を乗り越える。

◆ケンタッキーダービーVTR 不良馬場で行われた大一番は、逃げ切ったかと思われた1位入線のマキシマムセキュリティが、4角の斜行により17着へ降着となる大波乱の決着となった。繰り上がりVは大外20番枠から先行して脚を伸ばしたカントリーハウス。JRA発売の3連単は1629万円超の海外馬券史上最高配当となった。マスターフェンサーは序盤で最後方に置かれながらも直線で内を突いて6着まで追い上げた。

◆ベルモントS 米3冠最古の1867年創設で今年が151回目。92年に日本人所有の米国馬エーピーインディが勝利。02年に日本産馬(米国調教馬)でキズナの半兄にあたるサンデーブレイクが3着。日本調教馬では16年にラニが3着。1着賞金は80万ドル(約8800万円)。日本調教馬が勝つと100万ドル(約1億1000万円)のボーナスが支給される。レース名の由来となったアメリカジョッキークラブのベルモント会長は、日本へ来航したペリーの娘婿にあたる。

ケンタッキーダービーで6着に入ったマスターフェンサー(右から2頭目)(AP)
ケンタッキーダービーで6着に入ったマスターフェンサー(右から2頭目)(AP)