園田の新子師「8割不安2割楽しみ」女性騎手育成へ

兵庫を代表する新子雅司調教師(42)がこの夏「弟子育成」に挑んでいる。誕生すれば兵庫初の女性騎手となる佐々木世麗(せれい)さん(17)を受け入れる。数々の名馬を育て上げてきた新子師が初めて1人の騎手候補生を育て上げる思いに迫った。【園田・姫路競馬担当=松本健史】

新子厩舎に「騎手の卵」がやって来た。地方競馬教養センター第101期騎手候補生の佐々木世麗さんは7月7日から半年間、園田で競馬場実習に取り組む。目指すは来年4月のデビュー。誕生すれば兵庫史上初の女性騎手となる。

「8割不安、2割楽しみ。1人の人間を育てるということだけではなく、ちゃんと乗れるように育て上げないといけない。その責任を大きく感じる」

初めて引き受けた弟子は、兵庫では前例がない女性-。新子師は開業9年目で迎えた調教師の第2章に身を引き締めた。

中央競馬の藤田菜七子騎手は重賞にもコンスタントに騎乗。地方も含め、女性騎手の活躍は目覚ましい。新子師は「世麗にも将来はミシェルや(名古屋の)宮下、木之前のように減量がなくても男性騎手と渡り合えるような騎手になってほしい」と期待を寄せる。

もちろん現状は「騎乗姿勢はいいが、周りを見る余裕がない」と分析する一方「性格は明るく負けん気が強い。芯が強く騎手に向いている」と長所も見いだす。ただそれだけで務まらないのが、騎手の仕事。「騎手は1人でできない。調教師が馬を仕入れ、厩務員が馬を仕上げ、最後は騎手に託される。周りに支えられている」と元騎手の経験からも感じている。佐々木さんは1日最大15頭、厩舎問わず調教でまたがっている。「自分自身が周りを感じ取って、ちょっとずつでも成長してほしい」。師は1頭に騎乗することの重要さを強調する。

「ゲートをしっかり教え込んで、実戦で出遅れのないように。体力的にはあと2、3キロウエートが必要」と今後の課題を挙げながら「ご両親はひとり娘を覚悟して送り出してくれている。そのことからも自分の責任は大きい。騎手として親孝行できるようになってほしい」と親心ものぞかせた。師匠と弟子、二人三脚の旅は始まったばかりだ。

◆新子雅司(あたらし・まさし)1978年(昭53)3月1日、奈良県生まれ。95年騎手デビュー。騎手時代は地方通算1861戦126勝。01年引退。厩務員、助手を経て12年から調教師。15~17、19年と兵庫リーディング4度。19年129勝で兵庫の年間最多勝記録を更新。地方通算2779戦761勝(うち重賞38勝)。

◆佐々木世麗(ささき・せれい)2003年(平15)2月7日、広島県生まれ。地方競馬教養センター101期生。趣味は落語。憧れの騎手は同厩舎所属の笹田知宏騎手。149センチ、44キロ。

内馬場を周回する新子師(右)と佐々木候補生
内馬場を周回する新子師(右)と佐々木候補生