デアリングタクト、タイトルホルダーを鍛えたノルマンディーファームに潜入

競走馬のルーツを探ろう。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は、井上力心(よしきよ)記者が北海道新ひだか町のノルマンディーファームを訪れた。凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)に出走予定のG1・3勝タイトルホルダー(牡4、栗田)、牝馬3冠デアリングタクト(牝5、杉山晴)がこの地で基礎を築き、名馬に成長した。年々勢いを増す同ファームを紹介する。

    ◇    ◇    ◇

競走馬生産の聖地でもある北海道日高地方に、人生で初めて足を踏み入れた。車で移動中にも牧場が絶え間なく連なる。牧草に囲まれた放牧地でリラックスした様子の競走馬たちを見ると心が癒やされる。

ノルマンディーファームは山々の緑に囲まれる自然豊かな場所にある、山から流れる水も透き通る。育成牧場であるここでは主に1歳馬が入厩し、翌年のデビューに向けてトレーニングが進められる。

1歳秋からここに入り、世代で120頭ほどを管理しているという。自然にできた山の傾斜を利用した坂路コースは全長800メートル。実際に登ってみると、思ったより長く険しく、若馬たちにとってはかなりの重労働。15-15を1本上がると、最初はたいていの馬は息が上がるそうだ。ノルマンディーオーナーズクラブの久保由典さんは「デアリングタクトが明け2歳になった頃(19年)くらいに坂路コースを800メートルに延ばしました。距離を延ばしたことで結果にもつながっていると思います」と、より厳しいコースに整備したことが成績向上をもたらしているという。

長距離G1・3勝のタイトルホルダー、牝馬3冠デアリングタクトもまた、ここでのトレーニングが基礎となり、名馬に上り詰めた。同牧場長の富島一喜さんは1歳当時のタイトルホルダーにまたがった経験がある。「まさかここまで勝つとは思いませんでしたが、おとなしくていい子でしたし、早くから使えそうな手応えを感じていました。やっぱりモチベーションは高まりますよね。岡田スタッドの繁殖スタッフはもちろん、近隣の牧場の方も応援してくれるし、日高からいい馬が出てくれるとうれしいですね」と笑顔を見せる。

タイトルホルダーの凱旋門賞挑戦も、いよいよ近づいてきた。日高から世界へ、自然環境と先端の調教技術を融合するノルマンディーファームの挑戦は続く。【井上力心】

◆ノルマンディーファーム 所在地は北海道新ひだか町。面積110ヘクタール、およそ東京ドーム23.5個分に該当する広大な敷地を有する。主にデビュー前の1歳がここで訓練を受ける。坂路コース(ウッドチップ)の他に850メートルのダートコース、ウオーキングマシン5基がある。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)

ノルマンディーファーム内放牧地と山々
ノルマンディーファーム内放牧地と山々
ノルマンディーファームの看板とともに写真に納まる井上記者
ノルマンディーファームの看板とともに写真に納まる井上記者