ミシェルの初体験 インナーマッスルトレーニング

「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、短期免許で南関競馬に参戦中のミカエル・ミシェル騎手(24=フランス)のオフに迫った。平日は競馬場で砂にまみれ、週末はテレビ、雑誌の取材で大忙し。わずかな時間で出向いたジムでの個人トレーニングに潜入した。【取材=松田直樹】

美人騎手の“初体験”を目の当たりにした。ノーメークでナイキのジャージー姿のミシェル騎手が“見えない筋肉”と向き合っていた。東京・六本木の物静かな日曜の朝。多くのプロアスリートも通ったジム、「トータルワークアウト」で体の内側から肉体改造に臨んだ。

トレーナーの話に耳を傾け、時に深くうなずく。新しい自分に出会うため、表情は真剣そのものだった。過去のレース映像から、騎乗フォームを低く設定出来るようになれば、馬への扶助の際に無駄な動きが減ると指摘された。パフォーマンス向上の手がかりは「腸腰筋」。ミシェル騎手は「普段はインナーマッスルのトレーニングはしないけど、やってみたいトレーニング」と話した。一連の説明を受け、特訓が始まった。

馬上での激しいアクションとは正反対。横たわり、レッドコード(赤いロープで身体を不安定な状態にして、バランスを保持しながらのエクササイズ)と呼ばれる器具を用いて下半身を浮かす。インナーマッスルに意識を向けるため、脱力した状態で小刻みに片足を前後する。動きはかなり地味だ。「使わないといけない筋肉を意識するのは難しいですね」。普段は腕立て伏せ、腹筋に加えて、木馬での実戦を想定した自主トレがメイン。未知との遭遇だった。

ただ不安定な馬上に慣れているだけに、すぐさまコツをつかんだ。一般的に日本人よりも欧米人は腸腰筋が太いとされている。トレーナーの池沢智氏は「体の外側の筋肉はジョッキーとしては十分にある。無意識なものを意識的に使えるようになると、調子が悪いときに直しやすい」と助言しつつ、「覚えが早い。自分にどう役立つかすぐに考えられる」と話した。瞬時に右側が弱いことを理解し、脳内からインナーマッスルへ意識を伝達できている。

その後は騎乗時のバランス感覚を強化するため、不安定な台の上でもトレーニングを実践。締めには高タンパクの牛アキレス腱(けん)煮込みを試食し、「不思議な味」と笑みをこぼした。日本での好物となったギョーザをいくら食べても体重調整不要のスリム体形だが、健康意識も高まった様子。ミシェル騎手は「日本にずっといたいくらい。フランスに帰りたくないから、また来たいです。日本は来た瞬間からフィーリングが合って、自分の家みたいでした。全てが好きです」と笑顔を振りまいた。貴重なオフは進化のきっかけとなるか。ブロンドの天使は、今日も砂上を舞う。

ロープで体を宙に浮かし、膝を上下させることで股関節周囲の筋肉をトレーニングするミシェル騎手
ロープで体を宙に浮かし、膝を上下させることで股関節周囲の筋肉をトレーニングするミシェル騎手