コロナ禍で中止なしJRA 1人1人に強い対策意識

JRAの20年の全日程が27日に終了した。新型コロナウイルスの影響で2月29日から約7カ月間は無観客競馬が行われたが、開催は1日も中止にならなかった。プロスポーツ界で多くのコロナ感染者が出る中、JRAの騎手、調教師に感染者はいなかった。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、久野朗記者が厩舎、騎手のコロナ感染拡大防止対策など、異質となった1年間を振り返る。

計288日あったJRAの20年の開催は、有馬記念が行われた27日に幕を閉じた。コロナ禍による中止、順延、延期は1度もなし。プロ野球選手、大相撲の力士、バスケットボールBリーグの選手らから感染者が出た。それを責めることはできないが同じプロのJRA騎手に加え、調教師も感染者はゼロ。コロナ感染が拡大した頃から、JRA広報は「競馬をやめることはできない。とにかく競馬を継続しなきゃいけない」と、拡大防止へ厩舎、騎手へ注意喚起をしていたことを明かした。

独自のコロナ対策を行っていた厩舎がある。トレセンでの調教を2班に分け、スタッフの密集を避けた。仮に1班に感染者が出ても、もう1班だけで調教と最悪のケースも想定したものだ。他にも調教師を交えたスタッフミーティングではお互いの距離を取り、競馬場に行く時は、助手や厩務員が次亜塩素酸の除菌スプレーを持参した厩舎もある。滞在競馬になる夏の函館、札幌、小倉では、現地のスタッフは夜は午後9時前後の門限があった。外食は長時間を避け、少人数での飲食を心掛けた。

ジョッキーも対策を怠らなかった。レースに備えて騎手が入室する調整ルーム。若手の1人は「食堂で食事は取らず、各自の部屋に食事を持っていき、他人との接触を避けています。部屋からはあまり出ません」と言う。開催のない平日は、今でも仲間同士での外食は控えている。

これらはほんの数例。取材を通して感じたのは、感染拡大防止へ厩舎スタッフ、調教師、騎手が強い自覚と意識を持っていたこと。それが無事に開催を終えた大きな要因になっていたと思う。現在は中断されている競馬場での優勝馬の表彰式も、馬主側からの提案だという。JRA広報は「関係者の皆さんにご理解をいただいて感謝しています」。コロナ終息はまだ不透明。それでも21年も熱いレースが行われることを競馬関係者、ファン、我々メディアも願っている。【久野朗】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)