シンボリクリスエス9馬身、史上最大着差/有馬記念

<2003年(平15)>

平成の競馬史を振り返る「Legacy~語り継ぐ平成の競馬~」は有馬記念スペシャルとして4回連載。3回目は有馬史上最大着差となる9馬身差で、史上4頭目の連覇を達成した平成15年(03年)のシンボリクリスエスを取り上げる。【取材・構成=水島晴之】

7冠馬シンボリルドルフがミホシンザンに4馬身差の圧勝で連覇を飾ってから18年。同じ「緑、白襷、袖赤一本輪」の勝負服シンボリクリスエスが、ラストランで史上4頭目の連覇を達成した。

2着リンカーンにつけた9馬身差は、有馬記念の最大着差として今も破られていない。4角で先頭に並びかけると直線は独り舞台。コースレコードも12年ぶりに更新した。

この歴史に残る圧勝劇は「藤沢マジック」によってもたらされた。そういっても過言ではない。前年、3歳で制した時は、タップダンスシチーをゴール前で半馬身かわした。誰の目にも完勝に映ったが、藤沢和雄師は満足してなかった。内にもたれている。「右回りは上手じゃないから」。もたれ癖を解消するため、師の取った方法が、左回り中心の調教だった。

普通、苦手を克服させるには人間の扶助や、状況に応じて馬具で矯正することもある。だが「癖は直らないよ。だったら、癖が出ないように、得意な左回りをいいフットワークで走らせた方がいい」。無理に矯正して余計なストレスをかけるのではなく、いいイメージを伸ばす。これは、藤沢和師が大学卒業後に、ニューマーケットで4年間学んだことがベースになっている。

「1勝より一生」。馬の将来を考え、調教で必要以上の負荷はかけない。何を嫌がっているのか。どうするのが良いのか。馬と対話しながら調教メニューを組み立てる。追い切りで速い時計を出さないのが「藤沢流」ではない。天皇賞は勝ったが、ジャパンCは3着に敗れた。「いつも勝ちたい気持ちで仕上げている。ただ、鍛えること以上に無事にいいコンディションでいくことが大事。秋G1・3戦は厳しい。使えない馬もいるわけだから」。

中山の坂を駆け上がるシンボリクリスエスは、もたれる癖も出さず、真っすぐゴールへ突き進んだ。「体調もすこぶる良かったんだろう。もう1回やれと言われても難しい。最後に格好良く締められて良かった。種牡馬という大事な仕事が待っていたからね」。結果オンリーではない。プロセスを大事にした結果が、あの9馬身差の圧勝だった。

◆シンボリクリスエス ▽父 クリスエス▽母 ティーケイ(ゴールドメリディアン)▽馬主 シンボリ牧場▽調教師 藤沢和雄(美浦)▽生産国 アメリカ▽戦績 15戦8勝▽獲得賞金 9億8472万4000円▽馬名の由来 冠名+父名

03年の有馬記念を圧勝したシンボリクリスエスとペリエ騎手
03年の有馬記念を圧勝したシンボリクリスエスとペリエ騎手
02年の有馬記念
02年の有馬記念
03年の有馬記念
03年の有馬記念
有馬記念の着差
有馬記念の着差