栗東全体が人馬一体/坂井コラム第70弾

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

年が明けましたなんて言うてたのがついこの前やったのに、もう今年のG1前半戦が終わろうとしています。今年のG1前半戦を振り返ってみるとコラムを書いている現時点では、1番人気のお馬さんにはなかなか厳しい戦いになっていますね。とは言いつつも改めて勝ったお馬さんたちを振り返ってみると、実績も実力もあるお馬さんたちやなと感じる顔ぶれです。

特にすごいなと思ったのはヴィクトリアMを制したソダシ号。年明け初戦のフェブラリーSで3着。ダートでも走るという証明をしたので、このままダート路線で戦っていくのかなと勝手に思っていました。そんな中ヴィクトリアM参戦と聞いて、少し驚いたのと同時に「どんな走りを見せてくれはるんやろう」と楽しみになりました。レースでは東京の長い直線で真っ白な馬体が抜け出して見事な勝利。吉田隼人騎手のガッツポーズがとてもすてきで絵になりました。

そんな吉田隼人騎手が勝利騎手インタビューで「プレッシャーから解放されました」というような事をおっしゃっていました。ソダシ号のそれまでのレースの様子を見ていると敏感なお馬さんのように感じていましたし、白毛のアイドルホースで人気があるというのもありますが、何といっても阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞を勝ったG1馬です。そんなお馬さんの鞍上を任せられているというのは想像もできないプレッシャーなんやろうなと思いますし、私やったらお手洗いからずーっと出て来られへんやろうなと感じました。前回からお手洗いネタめっちゃくちゃ多いですやん(笑)。

ソダシ号の関係者の皆様、吉田隼人騎手、本当におめでとうございます。その吉田隼人騎手のお兄様は吉田豊騎手だという事は皆様ご存じだと思います。それでは突然ですが、ここで問題です。

JRAの騎手さんたちの中で、現在ご兄弟で現役騎手さんをされている方は何組いはるでしょうか? 

何で突然クイズが始まるねんと思った方もいはるのではないでしょうか。というのも先日、競馬ファンの友人からこの問題を出題されたんです。そして実は私、全員を答えることが出来ませんでした。すみません。TVでご兄弟なんやなと思いながら見ていましたし、中にはお世話になった方もいはるのですが、改めて聞かれるとなかなか出てきませんでした。答えを聞いて「確かに ! 」と思ったと同時に「そんなにたくさんいはるんや」と驚きました。

競馬の世界というかお馬さんの世界ではご兄弟だけでなく、親子、親戚(義理も含む)で、お仕事をされている方がいはります。私のようにお馬さんと関わりのないご家庭から競馬の世界に飛び込んでくる人も増えているとは思いますが、やはりお馬さんに関係しているご家庭の方が多いと感じます。(ちゃんと統計を取ったわけではないので、あくまでも私個人の見解です)。

お馬さんと関係のないご家庭では、何かのきっかけがない限り騎手さんや厩務員さん、調教師さんというお仕事があるという事を知ることすらなかなか難しいですが、幼い頃からお馬さんに関われるご家庭であれば、そのような仕事を目指すというのがごく自然なことになるのだと思います。だから、お馬さんの世界は血縁関係の方が多いのではないかと思います。

学生の頃、厩務員さんを目指して乗馬をしていた中には競馬関係者のご家族という方もいはったので、そんな環境をとてもうらやましく感じたのを思い出します。自分が夢見ている世界がこの人にとっては日常なんやと思って勝手に悔しがって嫉妬していたのですけどね。

ですがこうして厩務員さんになってから思うと、お馬さんに関わる仕事だからこその苦労や大変さ、それこそレースへ向かうプレッシャーがあるという事がわかって、華やかな部分しか見ていなかった事をとても反省しました。そしてこの華やかな世界はお馬さんに関わる全ての人たちの努力で成り立っているんやという事を身をもって知ることができました。それからは人に対して嫉妬をしたり、毒を吐く事(悪口)はしないようにしようと心掛けています。(人として当たり前のことを言うちゃってますね)。しかしどうしてもそんな感情が顔を出しそうなときは、TVにむかってブツブツ唱えるようにしています。こわっ。

なのでコラムでも誰かが悲しくなる事は書かないようにしたいと思っています。とは言いつつも人間なので「おうおう、そりゃないぜ」と声を大にして言いたくなる事もないことはないです(笑)。そういう時は、きっと私にはわからない理由があるんやろうと考えて人前で口に出さないように気を付けています。それって結構腹黒なのかもしれませんけどね。人前で毒を吐いたらその人は批判した人の血縁者だった、なんてこともトレセンではたま~に、結構あるちょっと怖い(?)話なのです(笑)。

というわけで、これからも坂井のコラムは明るく楽しい話題を書いていきたいと思います。最終的にコラムの方向性について語ってしまいました。いつもながらG1関係なくなってしまいました。

というわけで、(無理やり話題を変えますが)今回は春のG1最終戦・宝塚記念。皆様の夢を乗せたお馬さんたちが走ります。楽しみですね。

ちなみに先ほどの問題の答えですが、気になる方は調べてみてください。言わんのかい(笑)。次回以降のコラムのどこかで書く「かも」しれません。これ書かないやつやな。

それでは、今回はこの辺りで。皆様ごきげんよう。

重圧から解放された吉田隼騎手(右から2人目)は笑顔をみせてはりました
重圧から解放された吉田隼騎手(右から2人目)は笑顔をみせてはりました
蔵出し写真。18年前の吉田隼人騎手(右)と吉田豊騎手です。そろってイケメンです
蔵出し写真。18年前の吉田隼人騎手(右)と吉田豊騎手です。そろってイケメンです