二頭を追う裏方に配慮/坂井コラム第65弾

今年も新しい年が始まりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。私はお正月に食べ過ぎたせいか胃腸を痛めてのスタートとなりました。いい加減、節制という言葉を覚えなければいけません。

そんなことはさておき、今年の競馬も面白いレースが多くてワクワクしています。

まずは2021年度JRA賞が発表されました。年度代表馬、最優秀3歳牡馬には皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を制したエフフォーリア号が受賞されました。関係者の皆様おめでとうございます。

改めて言うまでもないですがほんまに強くて華のあるお馬さんだなと思いますし、年度代表馬に選出されたのも納得でした。

そして、エフフォーリア号とともに昨年の競馬を盛り上げてくれはった横山武史騎手。デビュー5年目にしてG1・5勝。2021年の年度代表騎手と言ってもいいご活躍だったと思います。

武史騎手は私が厩務員さんを辞めてからデビューされているので、面識はありません。しかし、私が厩務員さんの頃から「いま、競馬学校にとてつもなくセンスの良い候補生がいる」と話題になっていたのが武史騎手でした。

もちろん横山典弘騎手の息子さんということもありますが、そのような話題もあったのでデビューの頃から注目していました。

昨年、相方さんの厩舎のお馬さんに武史騎手が乗ってくれはる機会がありました。競馬に乗った経験のない私が偉そうなことは書けませんが、武史騎手の勝ち方はほんまにかっこよかったです・・・って語彙(ごい)力なさすぎやん(笑い)。

それだけでなく、武史騎手を見てますますカッコええなと思ったのは有馬記念の勝利ジョッキーインタビューでした。勝ったことはうれしいが手放しでは喜べない、反省すべきことがあると言うようなことを答えてはりました。

せっかく有馬記念を勝ったんやから、ストレートに喜んだらええやん、と思う方もいはるかもしれません。しかし厩務員さんとしての気持ちからすると、担当しているのは2頭で毎週競馬に行けるわけではありません。

騎手さんは「年間100勝」挙げました、と話題になったりしますが、厩務員さんはたくさん勝てる年もあれば(と言っても、年間10勝なんてほぼないと思います)まったく勝てない年もありますし、レースにたどり着くまでいけない年もあります。

もちろん、私も2年近く勝てなかったこともありますし、故障が続いて何カ月も競馬に行けなかった年もありました。

しかしそんなことは関係なく、朝日が顔を出す前から担当馬2頭と向き合って毎日お世話をするのです。だからこそレースに無事たどり着いて出走し、無事に帰ってくることが当たり前のことではないと思っています。そして担当するお馬さんにとって1戦1戦が重要であり、勝てるチャンスがあるのであればそのチャンスをつかむことが大切だと思っています。

だから武史騎手のインタビューを聞いていて「こんな風に思ってくれるジョッキーにまた乗ってもらいたい」と思いましたし、息子と言っていいほどの年の騎手さんが大活躍しているにもかかわらず、こういう考え方や行動を出来るのが素敵やなと感じました。

私が彼の年の頃は厩務員さんとして働き始めてすぐくらいで、思い出したら恥ずかしいくらい調子に乗っていましたからね(笑い)。ということで、ミーハーな私は横山武史騎手のファンになったわけです(笑い)。

また今年も話がずれてしまったので、JRA賞の話題に戻します(笑い)。他にもジャパンCを優勝したコントレイル号、ヴィクトリアM、マイルCSを勝ったグランアレグリア号、そしてクイーンエリザベス2世C、ブリーダーズCフィリー&メアターフ、香港Cを勝ったラヴズオンリーユー号など国内外で活躍された名馬たちの名前も並んでいます。皆、引退レースを勝利で飾るところも華があってカッコイイし、たくさんの感動をいただきました。

感動したと言えば、最優秀障害馬に選ばれたオジュウチョウサン号の活躍も忘れてはならないと思います。10歳になっても先頭を走り続ける姿は、ほんまに素晴らしいです。明けて11歳になった今年も現役を続ける予定だという記事も目にしたので、まだまだ元気に活躍する姿を見せてくれはることでしょう。

そして、最優秀2歳牡馬に選ばれたドウデュース号は無傷の3連勝で朝日杯FSを勝ち、武豊騎手は初めて同レースを勝利されました。ドウデュース号が先頭でゴールした後の競馬場では拍手が聞こえて、ファンの方もこの勝利を期待し感動されたことが伝わってきましたし、周りの競馬関係者さんたちも同様に盛り上がりました。

他にもソダシ号、サークルオブライフ号、そして最優秀ダートホースには、テーオーケインズ号という昨年の競馬を盛り上げてくれはったお馬さんたちや、JRA賞ではありませんがブリーダーズCディスタフを制したマルシュロレーヌ号はNARグランプリ2021の特別表彰馬に選ばれ、ラヴズオンリーユー号と共に北米の年度代表「エクリプス賞」ダート古馬牝馬部門で最終候補にも選出されています。彼女とテーオーケインズ号はサウジCの招待を受諾をされたので、今年も国内外で活躍されている姿を見ることが出来ると思うとワクワクします。

そして日本競馬のダート戦と言えば2022年最初のG1フェブラリーSが行われます。今年もいろんなお馬さんの活躍を期待しながら楽しみたいと思います。

それでは今回はこの辺りで。皆様、ごきげんよう。

有馬記念の勝利ジョッキーインタビューで反省する横山武史騎手を見てカッコええなと思いました
有馬記念の勝利ジョッキーインタビューで反省する横山武史騎手を見てカッコええなと思いました
競馬関係者も武豊騎手の朝日杯FS制覇には盛り上がりました
競馬関係者も武豊騎手の朝日杯FS制覇には盛り上がりました