愛に行ったマヤノトップガン/坂井コラム第37弾

皆様、いかがお過ごしでしょうか。いよいよ暮れの大舞台・有馬記念でございます。今年のコラムもこれが最後となりました。

さてさて有馬記念、何を書こうかなと思っていましたところ、飛び込んできた訃報。マヤノトップガン号が亡くなったというニュースでした。今年は名馬の訃報が多く少し寂しく感じます。

マヤノトップガンは大好きなお馬さんの1頭です。マヤノトップガンは、私が競馬を知った頃に活躍していて、輝く栗毛と派手な流星に「なんて美しいお馬さんなんやろう」と心をときめかせ、その強さに心臓をわしづかみされたお馬さんでした。

あまりにも好きで、へいはた牧場で修業させてもらっている時、休みを使って新冠の優駿スタリオンステーションさんにファンの1人として見学に何度も行きました。引退して種牡馬として過ごしていたトップガンは相変わらず奇麗でかっこいいなといたく感動し、遠くから悠々と草を食む姿をカメラで撮影したことを思い出します。

ただ、残念なことに私が初めて見たマヤノトップガンのレースは1996年の宝塚記念でした。

なので、マヤノトップガンが勝った菊花賞も有馬記念も、1994年の有馬記念馬であり3冠馬ナリタブライアン号とのデッドヒートを繰り広げ、「伝説のG2」と呼ばれた阪神大賞典も、私はリアルタイムで見ていませんでした。今思うとあの興奮をライブで感じていないことは、なんて損してる競馬人生なんだ!と思います(笑い)。そう思うと、マヤノトップガンだけでなく、先ほども書いたナリタブライアンの3冠も有馬記念もリアルタイムでは知らないのです。本当にもったいない(笑い)。

ナリタブライアンというと、先日、このコラムの写真撮影をしていただくのに久々に栗東トレーニングセンターに行きました。その撮影場所が小高い丘だったのですが、そこにお馬さんの銅像と人物の銅像がありました。12年と少し、トレセンでお仕事をしていたのに、恥ずかしながらこの丘のことも、銅像の事も全く知りませんでした。「この銅像はどちらさんかしら」と見ていると、そこには「ナリタブライアン」と書かれていました。「こんなところにいたのか、ブライアン!」なんて言いながら、一緒に写真を撮っていただきましたよ。だからなんやねんと言われても何もないんですが(笑い)。

ちなみに、横にいらっしゃった人物像は、5冠馬シンザンなどを育てられた「武田文吾」先生でした。この小高い丘はトレセンの調教馬場を見渡せる所にあって、雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も毎日きびしい調教をしているお馬さんや厩舎スタッフさんたちを、名馬と名調教師が「みんなケガするなよ。頑張れ」と見守ってはるかのように思えました。

そんなロマンチックな(?)思いをはせながら、なかなか良い場所を見つけられてうれしくなりました。きっとそんなワクワクしている写真も皆さんに見てもらえると思います(笑い)。

また、話がとんでしまいました。私のどうでもいい撮影秘話は置いといて、マヤノトップガンに戻りましょう。

マヤノトップガンは27歳だったそうです。老衰で亡くなったというニュースを見ました。心臓をわしづかみにされたレースからはもう20年以上もたっていると思うと、レガシーワールドの時にも思いましたが、時の流れを痛いほど感じます。そう思うとレガシーワールドってほんまに元気なんやな。詳しくはジャパンカップ特集号をご覧ください(笑い)。

どおりで、かろうじて30代なのに五十肩に悩まされたり、朝起き上がるのに時間がかかったり、なかなかやせなかったりと、体が言うことをきかなくなるわけです。

ここで「やせない」というフレーズが出たのと、今年最後のコラムということで。

皆さん、今年初めごろのコラムで「現役時代の体型に戻す」と宣言したのを覚えていはるでしょうか。そんなどうでもいいこと覚えているかいとツッコミがきこえそうですが、お付き合いください。実は最終的に現役時代から最大16キロ増えましてね(笑い)。一時はどうなるかと思ったのですがとある出来事から1週間で12キロ減り、残すところあと4キロというとこまできているんです。まあ、12キロ減ったとある出来事のために、春競馬のコラムをお休みさせていただいておりました。

実は私、初仔の「チアキの2019」を出産いたしまして(笑い)、体を増やしつつお休みをいただきました。まあ、パドック解説の方に「これは成長分ではなく、あと二絞り欲しいですね」と言われてしまいそうな体重増のせいで、この出産が結構壮絶な出来事となったので、そのうちコラムのネタとして書きたいなと思っております(笑い)。

というわけで、あと4キロ。このコラムが発売される頃・・・いや有馬記念が発走する時には目標達成しているはずです(ちょっと不安ですが)。

私もお馬さんたちと一緒に坂路追い切りでもしてこようかしら、それともコースで長め追いかしら。でも昔、コース走ってたら他の厩舎のおじさまに「昆先生のところのおねーちゃん、コース散歩してたで」と言われたのでやめとこう。私は全力で走ってたんですよ、おじさま(笑い)。

またまた、話がとんでしまいました。

そんなわけで、今回は有馬記念。コラムも体重もビシッと締めくくって、楽しみたいと思います。寒くなってきましたので皆様も体調に気を付けて、有馬記念で盛り上がりましょう。あなたの夢はどのお馬さんでしょう。私の夢は・・・。

それでは今回はこの辺りで。皆様ごきげんよう。

優駿メモリアルパークで余生を送っていたありし日のマヤノトップガン
優駿メモリアルパークで余生を送っていたありし日のマヤノトップガン
「こんなところにブライアン!」なんて言いながら、一緒に写真を撮っていただきました
「こんなところにブライアン!」なんて言いながら、一緒に写真を撮っていただきました