京都競馬場は青春そのもの/坂井コラム第32弾

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

いよいよ秋到来。今回は京都で行われるG1「菊花賞」特集号ですね。

そんなG1で盛り上がっている中、「京都競馬場改修工事」という記事を目にしました。

京都競馬場は私にとって「青春そのもの」であります。初めて競走馬を見たのも、初めて馬に乗ったのも、初めて担当馬が勝ったのも全て京都競馬場でした。それだけでなく初めてG1・秋華賞に担当馬が出走したのも京都競馬場でございました。

京都は地元ですし、18歳まで過ごした特別な場所です。なので担当馬が出走する時はよく母が応援に来てくれました。母はとてもマイペースでおちゃめな人です。パドックで私を見かけると「お母さん、来たよ!」とか「ちーちゃん、お母さんやで」とパドックをひく私に向かって呼び掛けてきます。

前にもコラムに書きましたが、こちらは返事をすることはできません。ですが、母は一生懸命呼び掛けてきます。前を通るたびに声を掛けてくるので、競馬後、電話をして「パドック」で声を掛けてくれても、返事できひんよ」と言うと、「だって気付いてなさそうやったし」とおちゃめな答えが返ってきたのを覚えています。

そのうち昆先生や厩舎の先輩方から「今回はお母さん来はんの?」と聞かれるようになりました。昆先生や厩舎の先輩にも声援を送っていたようです(笑い)。

そんな母も体を悪くしてから競馬場に来られず、テレビ観戦になっています。来てくれている時は参観日のような照れくささがあったのですが、いなければさみしく感じますね。来てくれる時はいつも以上にウイナーズサークルで記念写真を撮る姿を見せたいなと思っていました。それが、一番の親孝行になると思っていたからです。

母は1人娘の私がこの仕事をすると決めた時、反対せずに背中を押してくれました。今思うと、肝が据わった母ちゃんだなと尊敬します。やりがいはあるけど、身をもって危険な仕事だと知っているので、もし自分が母の立場なら許さなかったと思うからです。まあ、どう転がったって、逆立ちしたって母にはかなわないということですね。

そんな母の話は置いといて、京都競馬場の話に戻りましょう。

来年の2月より工事が始まるようですね。京都競馬場は栗東トレーニングセンターから一番近く、馬運車で40~50分ほどで到着します。輸送があまり得意でないお馬さんや新馬ちゃんとレースに向かうにはありがたい距離やな、といつも思っていました(一番は滞在競馬ですが)。

京都開催が休止となるのは2020年11月から2023年3月までと書いてあります。結構長い期間休止となるようです。休止期間中の振替先競馬場はまだどうなるか分かりませんが、どのように振り分けられるのでしょうか。別の競馬場で開催されるG1レース。京都競馬場で行われるのとはまた違ったレースになるのではないでしょうか。それはそれでまた楽しみです。

工事概要を見ていると、スタンドはグランドスワンの改築とビッグスワンの改修となっています。グランドスワンに至っては、私よりも年上!(昭和55年竣工)結構古いんやと思いました。

そして、パドックも改築されるようです。あの京都競馬場独特のまん丸パドックはなくなってしまうのですかね。私はあのまん丸パドック好きなので、少し寂しくなりました。

馬場は路盤の改修や入退場経路の整備などは行われそうですが、コースの線形には変更がないと書かれています。私は馬券のことはわかりませんが、コースが変わると難解になるものなのでしょうか? 厩務員さんとしては担当馬の得意・不得意なコースがあるのでコースが変わるとプラスに転じるかマイナスに転じるか・・・と思ったりします。実は結構厩務員さんとコースの相性もあると私は勝手に思っています(あくまでも私個人の見解です)。ちなみに私は京都競馬場・ダート1200~1400メートルと昔の中京競馬場は相性が良く、実際に一番勝たせてもらっていると思います(笑い)。

また話が飛んでしまいましたが、この改修工事は京都競馬場開設100周年を迎える2025年の記念事業の一環として行われるそうです。昔からの競馬ファンの方はご存じかもわかりませんが、昔、栗東トレーニングセンターができる前は厩務員さんたちや競走馬は各競馬場で生活をし、調教をし、レースをしていたそうです。昭和44年から中京競馬場、阪神競馬場から人馬が移動し、翌年京都競馬場からトレセンへの移動が行われたそうです。

まだ私が生まれる前のお話なので実際のところは知らないのですが、以前、栗東トレーニングセンターができる前に京都競馬場で厩務員をされていた方に、当時のお話を聞いたことがありました。

今のトレセンと同じように平日はトレーニングをして土日には競馬があり、厩務員さんたちはお馬さんたちの暮らす厩舎の横に長屋があって、家族で暮らしていたそうです。なので、住んでいるお家の隣にお馬さんがいて、前かきをする音や、いななく声を毎日聞きながら生活をし、扉を開ければお馬さんが見えるのです。そんな中育った子供たちにとってお馬さんは家族のような存在やろうなと、とてもうらやましく思いました。

そんな歴史のある京都競馬場がお休み期間に入るまであと1年ほど。この秋は母と一緒に改装前の京都競馬場に参戦できればいいなと考えています。

さて、今回はクラシック3冠の最終戦・菊花賞。皆様はどのように楽しまれるでしょうか。今回はこの辺りで。皆様、ごきげんよう。

この夏、栗東トレセンでポーズをとり、改修する京都競馬場に思いをはせました
この夏、栗東トレセンでポーズをとり、改修する京都競馬場に思いをはせました
私の好きな京都競馬場独特のまん丸パドック。競馬場改修のニュースを聞き少し寂しくなりました
私の好きな京都競馬場独特のまん丸パドック。競馬場改修のニュースを聞き少し寂しくなりました