覚えられるとうれしい馬とのコンビ/坂井コラム第23弾

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

この前、武豊騎手が前人未到のJRA通算4000勝を達成されました。おめでとうございます(このコラムが発売されるころは若干時間のずれがありますが、ご了承ください)。

才能とセンス、そして想像を絶するような努力を続けていはるからこそなんやろうなと思います。才能もセンスも何もない私には(そして常に楽をしようとする)きっとわからない世界なんだと思います。だから、武豊騎手を尊敬するし、その4000勝の中の1勝に自分と担当馬だったシャン君の勝利が含まれていることをうれしく思いますし、自慢ですし(ちっちゃいですが)その瞬間を生きていることをラッキーに思います。

ところで、JRA通算4000勝達成の瞬間、皆さんはどちらで目撃されたでしょうか? 私はお家のテレビで観戦していました。2018年9月29日。阪神競馬場・第10レース。

実はこのレースに私が個人的に応援しているお馬さんが出走しておりました。レース前、気合を入れてテレビの前に座り、競馬中継を観ていました。もちろん、この時武豊騎手の4000勝に王手がかかっているのは知っていましたが、私は自分の応援するお馬さんに注目していました。

スタートが切られ、競馬中継も先頭から最後方のお馬さんまでを順番にうつして、勝負どころ、4角を回り直線に入りました。満を持して武豊騎手を乗せたお馬さんが先頭に立った時のことです。突然、その馬だけの映像になってしまったのです。そしてそのままゴールまでそのオンリー映像のままでした。

もちろん、冒頭にも書きましたが4000勝は前人未到の大記録ですし、伝説になる快挙です。私だって興奮しました。

しかしです。きっとTVで見ていたファンの中には私のように他に応援しているお馬さんがいる人もいるかもしれない。もしくは、馬券を買っている方からしたら2、3着の馬が見たい方もいたかもしれない。ですが、オンリー映像になってしまうと、他のお馬さんの頑張って走っている姿が見えなくなってしまうのです。正直、すごく残念で、TVに向かって

「何してんねん! 他も映さんかい!」と柄にもなく、お下品なお言葉を発して、TVを揺さぶってしまいました(私としたことが・・・もう少しでTVぶち壊すところでした)。

もちろん、リプレーですぐに流されるのですが、「競馬はLiveで楽しみたい派」(知らんがな)の私にとってはすごく残念な出来事でした。

TVさんにはTVさんの事情があるのでしょうが、中には私のような人もいるかもしれないので、Live中継の時は全体を映して欲しいなーと思ってしまいました(笑い)。


まあ、私が残念に感じたお話はさておき、話を戻しましょう。

この武豊騎手4000勝に向けて、日刊スポーツさんで「武豊騎手総選挙」を開催されていましたね。武豊騎手のベストレースとベストパートナーを投票で選び、4000勝達成時に結果発表するという楽しい企画でした。皆さんの中でも参加された方もいはるのではないでしょうか。

武豊騎手のベストパートナーといっても、数々の名馬たちとコンビを組んでこられた方ですから、選挙結果を見ていても「あー、このお馬さんも、このお馬さんも!」なんてたくさんの馬の名前が出ていましたし、長い期間トップを走っている方ですから懐かしいお馬さんの名前も出ていたりしましたね。ベストレースにしても、どのレースも華があるので、なかなか選べないなーと感じました。

武豊騎手だけでなく、「この騎手さんと言えばこのお馬さん」と思い浮かぶコンビってありますよね。

最近は乗り替わりなどもあるので、「この騎手=このお馬さん」とファンの方から思ってもらえることも少なくなってきているかもしれません。そういうお馬さんと騎手さんが出会えることってほんまに運命的やなと思います(おっと、また柄にもなくロマンチックなことを言うてしもた)。

そう考えると、厩務員さんが「この厩務員さん=このお馬さん」と覚えてもらうことってないなと思います。G1レースを勝ったりすると印象にあるかもしれませんが、そんなことはなかなかありません。

お世話になっていた昆厩舎で言うと、ローレルゲレイロ、ヒルノダムールを担当していた背の高い厩務員さんや、ディープスカイ、ハタノヴァンクールを担当していたクルクルな髪形が印象的やった厩務員さんなど、「あー覚えてる」といわはるかもしれません。

厩務員さんは縁の下の力持ち的なお仕事ですから、そりゃそうなんですが、厩務員さん同士の中では「この厩務員さん=このお馬さん」というのはあるんですよ。他厩舎の厩務員さんから「4連続2着の馬、ねえーちゃんのやろ?」とか「重賞2着の馬、ねえーちゃんのやろ?」とか(2着ばっかりやないかい)。

私は、1口馬主様のクラブのお馬さんをよく担当させてもらっていたので、「会報を見たよ。あの馬、ねえーちゃんが担当してんねんな」という風に声をかけてもらえたりします。

私にとっては担当していたどの子も大切なパートナーだと思っていますが、そうやって声をかけてもらえるとうれしかったりします(辞めた今でも、そんな風に声をかけてくれはる方もいるので)。

さて、今回はエリザベス女王杯、どのベストパートナーがどんなベストレースをみせてくれるか楽しみです。

今回はこの辺りで。皆さまごきげんよう。

厩務員時代の坂井さん(右)は馬と一緒ならいつも笑顔
厩務員時代の坂井さん(右)は馬と一緒ならいつも笑顔