仰げば尊し 昆師の恩/坂井コラム第76弾

皆様いかがお過ごしでしょうか。今年最後のコラムとなりました。

振り返ってみると、今年は今までにない1年やったなと感じます。そんな1年の締めくくり。私は今、あまり元気がありません。ある出来事がきっかけなのですが、少しお話にお付き合いください。

11月3日、この日は盛岡と門別でJBC競走が行われ、私も推し馬さんや騎手さん、厩舎さんや厩務員さんを応援していると、産駒が突然トイレトレーニングに成功しました。レースが気になりながらも、産駒が「おトイレでする」と言うので耳はTVに向けながら産駒にも推し馬さんにも頑張れ~と声援を送り、成長を感じた一日でした。推し馬さんの無事と産駒の成長に酔いしれて迎えた翌日、私にとって衝撃の一日となるのです。

その日も普段と変わりなく一日が過ぎようとしていた頃、携帯に1通のメールが届きました。そこにはとある男性アイドルグループからファンの皆様へご報告、とありました。悪い予感しかせず、そのグループのファンクラブ会員である私はサイトを見てみると案の定、推しメンバーが脱退、退所するという報告でした。

前から宣言していますが私はかなりのミーハーです。「好きだ!」と思うものには一直線に突っ走っていくタイプです。最初は小学5年生の時に初めて聴いたB’zさんに衝撃を受け、好きすぎるがゆえにライブに行き、高価なギターを買って習い始め、ついに今年ファン歴30周年を迎えました。次に修業で北海道に住んでいた時に大泉洋さんはじめTEAM NACSさんを知り、好きすぎて滋賀に来てからも北海道までイベントに行ったりします。

極め付きは皆様もご存じのように、お馬さんや競馬が好きすぎて厩務員さんになってしまう「猪突(ちょとつ)猛進」タイプです。そんな私が久々に沼ったのがKing&Princeさんでした。結局名前出すんかい(笑い)。40超えたおばちゃんが気持ち悪い! と思わはる方もいはるでしょう。

彼らがデビューされた2018年。私は大好きな厩務員さんという仕事を辞めて1年半が過ぎようとしていた頃でした。まだ産駒もおらず、仕事をしていた頃の危険や緊張感を感じることのない穏やかな日常を送りつつも、毎日お馬さんと会えない寂しさを感じていた時、彼らのデビューを見てぽっかり空いていた気持ちを埋めてもらった感じがしました。キラキラしたアイドルという所もすてきですが、デビューしてもなお世界を目指して努力されている姿をみて、私ももっと頑張らんとあかんやん! と元気をもらえる存在になりました。

そんな彼らがバラバラになることに衝撃を受けた11月4日。翌朝5時に出勤する相方さんが寝室をのぞくと「岸君が~」とうなされていたらしく、そっと扉を閉めたそうです。確かにそれは気持ち悪いなと思います(笑い)。まだショックではありますが、彼らが「5人」のKing&Princeとして駆け抜ける来年5月まで、応援し、見届けようと思います(もちろんその後も応援します)。

「見届ける」といいますと、有馬記念の前日に行われる中山大障害に王者・オジュウチョウサン号が参戦予定です。そしてこのレースを最後に引退するという発表がありました。障害レースの強さは言うまでもなく、平地レースに出走し勝利したり、有馬記念に出走したりとたくさんの話題を提供し、楽しませてくれはるお馬さんやと思います。

そして何より、障害レースの頂点で11歳になっても現役で戦っているというのは、オジュウチョウサン号自身もですが、騎手さんや厩舎関係者の皆さん、牧場の皆さんの支えが素晴らしいなと感じます。きっと現場でしかわからない努力や苦労もあったのではないかと思います。

私も厩務員さんの頃、何頭か障害馬さんを担当させていただいた事がありますが、本当に無事に何事もなく長く現役で走るのは簡単ではないと感じることがありました。平地・障害・G1馬・未勝利馬、どんなお馬さんでも、無事に走ってゴールするのが当たり前のようで当たり前ではありません。

私は厩務員さんの頃、担当馬の気になる事や心配なところがある時は、師匠である昆先生に細かく報告、相談していました。競馬中に悲しい思いをした事があるので、かなり神経質になっていたと今になっては思います。

そんな私に先生は「そんなに心配するなら、家で飼っとくしかない。でも競走馬として生まれてきたんやから、走らないといけないし、勝たないと先がない。だから少しでも勝ちに近づくように支えてケアするのがプロの厩務員さんの仕事。心配する前にやれることがあるはずだよ」とおっしゃいました。

若かった私はその言葉にハッとしました。当時は勝負の世界にいるということはわかっていたのですが、お馬さんが好きでかわいくてという気持ちが前面に出てしまっていて、だいぶ甘かったと先生の言葉で反省したことを思い出します。

さて今回は有馬記念です。年末の夢舞台に登場するお馬さんたちや障害王者・オジュウチョウサン号の走りの「目撃者」になれることはとても幸せだなと感じますし、この時代に生きていて良かったと思います。少し大げさかな(笑い)。そんなお馬さんたちのレースを、それを支える厩舎関係者さんたちの努力を「見届ける」事が競馬ファンとなった私のプロの競馬の楽しみ方だ! と勝手に意気込んでおります(笑い)。

キンプリさんの件で心が安定してない内容になってしまいましたが、今年も私のコラムにお付き合いいただき本当にありがとうございました。

今回はこの辺りで。皆様、ごきげんよう。

昆貢調教師(右)にはプロの心得を教わりました
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オジュウチョウサンのラストランを見るのが楽しみです
オジュウチョウサンのラストランを見るのが楽しみです