頑張ってね長谷川浩大“先生”/坂井コラム第29弾

皆さまいかがお過ごしでしょうか。いよいよ春の訪れを感じる季節となりましたね。春は「出会いや別れ・新たなスタート」の季節であります。何だか少しロマンチックな書き方ですね(笑い)

競馬の世界は3月で年度替わりをします。定年を迎えられる調教師さんなどは2月で退かれ、3月からは新しい調教師さん方がスタートを切られます。新人ジョッキーさんがスタートを切るのもこの時期です。

でも世間一般では4月が年度替わりなのに、競馬の世界はなぜ3月? と昔から思っていたのですが、誰に聞いていいかもわからず、知ったところで何かするわけでもないという答えに行きつき、その疑問は解明されないまま今に至ります(笑い)。

私のどうでもいい疑問はさておき、この3月から新たにスタートをきる大切な仲間がいます。

その仲間と言うのは「長谷川 浩大」調教師です。

彼のジョッキーさん時代に「ファンやった」とか「馬券取ったよ」という方もいはるんではないでしょうか。浩大先生と私は同世代で、京都競馬場の乗馬センターで一緒に馬に乗っていた仲間です。その仲間たちの中でいち早くジョッキーとして競馬界に飛び込んだ先輩でもあります。彼の後に続けと私や、仲間たちが競馬界に飛び込みました。

今でも、この仲間たち7人は定期的に集まって食事会(という名の飲み会)をしながら、乗馬時代の話や厩舎の話、お馬さんの話をしています。そんな乗馬時代から競馬界を目指して戦ってきた仲間が調教師さんの試験に合格したと聞いたときは自分のことのようにうれしかったです。

普段「浩大先生」と呼んでいないので、ここでは「浩大くん」と呼ばせてもらいますが、乗馬時代、私がほんの少し先輩だったこともありかなり厳しかったそうです。お馬さんの手前を間違えただけで馬場を何十周も走らせるような鬼先輩だったらしく、今でも飲み会の時は「忘れへんでー」と言われます(最低なことに私は全くその時のことを覚えていませんでした)。ただただ平謝りしましたけどね(笑い)。

しかし、そんな恨みをかうような鬼先輩だった私が厩務員さんを辞めたのに結婚になかなか踏み切らなかった時、誰よりも心配してくれたのは浩大くんをはじめとする京都乗馬センターの仲間でした。あまりにも心配してくれて「もし坂井が結婚できず、(今の相方さんに)捨てられた時はこの仲間の中の誰かが面倒を見よう」という話にまでなっていたと、後々教えてくれました。結構真剣に話し合ったそうです(笑い)。

「またまた、そんな」なんて言いつつ、半分冗談やったにせよそんなに心配してくれていたという気持ちを聞いた時、涙がこぼれそうなくらい(ほぼ泣いていました)うれしかったのと、私はほんまにええ仲間に出会えたんやな、と心から思いました。

浩大くんはそんな優しさもあり、ジョッキーさんとして表舞台で戦ってきた度胸と負けん気の強さ、そしてお馬さんに対しての情熱とまじめさ。「ぜったい試験受かるぞ」と宣言して、本当に実現させる行動力。年下なのにほんまに尊敬する人です。

このコラムが掲載される時、浩大くんは調教師さんとしてのスタートを切っていることでしょう。調教師さんとしての仕事は私が想像しているよりも何十倍も大変だと思います。だから、仲間の一人として応援したいし、何か力になれることがあれば駆け付けたいと思っています(多分、飲み会の幹事くらいしかできひんけどね)。

春は新しいスタートがある一方で、お別れもあるわけです。

先にも書いたように、定年で退職される調教師さんがいはるというのは皆さんもご存じやと思います。でもお別れがあるのは調教師さんだけでなく、JRAの職員さんもこの時期にお別れすることがあります。「JRAの職員さん言われても何してる人なん?」と思わはりますよね。

皆さんが見ることのあるお仕事で言うと、レースのスタートを知らせるスターターさんや、誘導馬に乗っている方や、レースの時にゲートに馬を誘導する方等々。それだけではありません。その中でも、厩務員さんと関わりが多いのはJRAの「獣医師さん」だと思います。JRAの職員さんというのは、トレセンをはじめとするそれぞれのJRAの施設に勤務しています。そして、この年度替わりの時期に転勤があるのです。

今回、私が現役の時に大変お世話になった「美人獣医師さん」が栗東トレセンから異動することになったのです。彼女は前先生と言って、とても頼りになって、お馬さんに寄り添ってくれる大好きな獣医師さんです。私の担当馬が危険な状態になった時も、丁寧に診察をしてくれて、動揺している私に寄り添ってわかりやすく説明してくれました。競走馬を扱う獣医師さんの世界も私たちと一緒で女性は少ないので、きっと苦労もあると思いますが、前先生からは明るくてそんな雰囲気は全く感じません。

私が辞めた今でも変わらず交流があり、わからないことを質問するといろいろ教えてくれはります。獣医師さんを辞められるわけではなく、転勤なので会おうと思えば会えると言いつつもやはり寂しく感じてしまいました。

このように「春ってちょっとセンチな気分」なんて言いつつ今回のコラムもしめようと思います。また特集号とは関係ない話になってしまいましたが、2人の「先生」の新しいスタートを応援しつつ、レースで戦うお馬さんを応援しつつ、私も新たなスタートに向けて頑張ります。

それでは今回はこの辺りで。皆様、またお会いしましょう。

※更新はしばらく休載します。

3月1日から新規開業した長谷川浩大調教師
3月1日から新規開業した長谷川浩大調教師