24日は香港チャンピオンズデー 日本馬不参戦でも興味深い3競走の注目馬を紹介します

3つのG1競走が行われる香港のチャンピオンズデーが24日(日曜)に近づきました。年末の香港国際競走デーでは接触を極力減らすバブル方式によって外国馬の出走を可能にしましたが、今回は3月の段階で感染状況が改善されていないことから日本馬を含めた外国馬の受け入れを断念。今年は地元香港馬だけのイベントとなりました。残念ながら日本での馬券発売もなくなりましたが、3つのレースはどれも興味深いもの。レース終了後には香港ジョッキークラブ(HKLC)の公式サイト(racing.hkjc.com)でレースの模様もアップされます。

それぞれのレースの注目馬を紹介しましょう。

【クイーンエリザベス2世C(G1、芝2000メートル)】

1(6)リライアブルチーム

2(3)トゥールビヨンダイヤモンド

3(9)チアフルデイズ

4(8)ロマンチックウォリアー○

5(1)ロシアンエンペラー◎

6(4)コロンバスカウンティ

7(5)パンフィールド

8(7)サヴィーナイン

9(2)カーインスター

10(10)ゼブラウスキー

2月20日のG1香港ゴールドC(芝2000メートル)で、ゴールデンシックスティを3着に退け、香港初勝利を挙げたロシアンエンペラー(セン5、父ガリレオ、D・ホワイト厩舎)と「4歳シリーズ」の香港クラシックマイル(芝1600メートル)、香港ダービー(芝2000メートル)を制して4歳世代のトップにのぼったロマンチックウォリアー(セン4、父アクラメーション、C・シャム厩舎)が初めて顔を合わせます。

ロシアンエンペラーはアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎からデビューして2、3歳時に5戦2勝。G3ハンプトンコートS(芝2000メートル)に優勝し、英ダービー(G1、芝2410メートル)に駒を進めました。英ダービーはさすがに相手が強く、サーペンタインの7着でしたが、その後、トレードされて一昨年9月に香港に移動しました。昨年の「4歳シリーズ」は9、2、2着。勝つことは出来ませんでしたが、2000メートルの香港ダービーでは強靱(きょうじん)な末脚を繰り出してスカイダーシーに頭差まで迫る2着に健闘。その後は勝てないレースが続きましたが、昨年12月の香港C(G1、芝2000メートル)でラヴズオンリーユー、ヒシイグアスに次ぐ3着に善戦したことをきっかけに上昇に転じ、1月のスチュワーズC(G1、芝1600メートル)ではワイクク、ゴールデンシックスティに続く3着に健闘。2月の香港ゴールドC優勝につなげました。

4月3日のG2チェアマンズT(芝1600メートル)は、チャンピオンズマイルに参戦予定のゴールデンシックスティに2馬身差の2着でしたが、ゴール前5頭が横一戦の2着争いを制して、敗れてなお強しの競馬。香港のレーティングはメンバー中最右翼の123。鞍上は今シーズンを最後にオーストラリアへ帰国するブレイク・シン騎手です。

ロマンチックウォリアーは昨年10月にデビューし、5連勝で香港クラシックマイルを制しました。続く香港クラシックC(芝1800メートル)は末脚不発で4着でしたが、2000メートルの香港ダービーでは、逃げるカリフォルニアスパングルを徹底マークして直線で一騎打ちの末に優勝しました。父アクラメーションは産駒にスピードを色濃く伝えていますが、この馬は中距離までこなすスタミナを備えています。鞍上はカリス・ティータン騎手。

【チャンピオンズマイル(G1、芝1600メートル)】

1(2)モアザンディス

2(1)ゴールデンシックスティ◎

3(3)ワイクク

4(5)ヘルシーハッピー

5(8)カリフォルニアスパングル○

6(6)チャンピオンズウェイ

7(7)エクセレントプロポーザル

8(4)マイティジャイアント

チャンピオンズマイルは、2連敗で土俵際に追い込まれてから前哨戦のG2チェアマンズT(芝1600メートル)で盛り返したゴールデンシックスティ(セン6、父メダーリアドーロ、K・ルイ厩舎)と「4歳シリーズ」の香港クラシックC(芝1800メートル)を逃げ切って、香港クラシックマイルと香港ダービーでともにロマンチックウォリアーの2着したカリフォルニアスパングル(セン4、父スタースパングルドバナー、A・クルーズ厩舎)の激突が見ものです。

チェアマンズTのゴールデンシックスティは、これまでの後方待機策を捨てて前半から積極的に先行して4、5番手を追走、直線で先頭に立ってライバルを突き放す横綱相撲で、“無敵”の頃の姿を取り戻しました。芝1600メートルは10戦9勝、昨年のチャンピオンズマイルは同厩舎のモアザンディスをアタマ差かわして優勝しています。鞍上はヴィンセント・ホー騎手です。

胸を借りる立場のカリフォルニアスパングルは9戦6勝、2着3回。負けた3走も短頭差、半馬身差、頭差といずれもきわどい競馬です。香港ダービーは直線でよれる場面が見られたように初距離の2000メートルが微妙に影響しました。ライバルのロマンチックウォリアーとは3度対戦して2度先着を許していますが、実力は互角です。カリフォルニアスパングル(香港のレーティングで105)とゴールデンシックスティ(同131)は、レーティングで26ポイントもの差がありますが、無心の逃げが活路を開くかもしれません。鞍上はザカリー・パートン騎手。

チェアマンズスプリントプライズ(G1、芝1200メートル)

1(9)コンピューターパッチ

2(6)サイトサクセス△

3(5)ホットキングプローン☆

4(11)クーパニー

5(7)スーパーウェルシー

6(1)スカイフィールド△

7(4)ストロンガー○

8(8)マスターエイト△

9(2)ウェリントン◎

10(10)ラッキーエクスプレス

11(3)ラッキーパッチ

新旧勢力が入り乱れて混戦模様が予想される短距離戦線。前哨戦のG2スプリントC(芝1200メートル)を強い内容で制したウェリントン(セン5、父オールトゥハード、R・ギヴソン厩舎)が頭ひとつリードして本番を迎えます。

ウェリントンは1000メートル~1400メートルで15戦9勝。昨年のチェアマンズスプリントプライズでは鋭い末脚を繰り出して、ダノンスマッシュを一蹴しました。12月の香港スプリントは直線入り口での多重落馬事故のあおりを受けて7着でしたが、年明け2月のG1クイーンズシルバージュビリーC(芝1400メートル)は5番手から末脚を爆発させてカーインスター(2着)、ワイクク(3着)をかわして優勝、自身2度目のG1勝ちを飾りました。4月3日のスプリントCでは鮮やかに馬群を切り裂いて優勝。本番へ弾みをつけました。香港のレーティングは、チェアマンズスプリントプライズ出走馬で最高の123。主戦はアレクシス・バデル騎手です。

1月のセンテナリースプリントCを追い込んで勝ったストロンガー(牡5、父ノットアシングルダウト、D・ホワイト厩舎)が対抗候補。前哨戦は後方のまま8着と流しましたが、本番での巻き返しは必至でしょう。

昨年の香港スプリントの覇者スカイフィールド(セン5、父ディープフィールド、C・ファウンズ厩舎)は、その後、センテナリースプリントCでストロンガーに頭差2着、2月のクイーンズシルバージュビリーCはウェリントンの4着。順調に本番へ駒を進めます。

香港デビューから5連勝で1月のG3ボーニアスプリントT(芝1000メートル)に優勝、新勢力の目玉として注目されながら、近走3連敗のマスターエイト(セン4、父オーマルフォース、F・ロー厩舎)も立ち直れば侮れず。

昨年1月のセンテナリースプリントCで悲願のG1制覇を飾り、20/21年シーズンの最優秀短距離馬に輝いたホットキングプローン(セン7、父デンマン、J・サイズ厩舎)は、その後6連敗も、ここを目標に仕上げられています。鞍上はジョアン・モレイラ騎手。馬券が売っていれば単勝をおさえたい馬です。

今シーズンだけで4勝(10戦)を積み上げて一線級に挑むサイトサクセス(セン5、父マグナス、J・サイズ厩舎)は厩舎の秘密兵器。初のG2挑戦となったスプリントCでは先行して勝ったウェリントンの首差2着に健闘。勢いを感じさせています。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績等は2022年4月21日現在

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クイーンエリザベス2世C
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チャンピオンズマイル
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チェアマンズスプリントプライズ
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