29日米国のペガサスワールドCに注目 新4歳勢に脚光か古馬が有終の美か

優勝馬にG1サウジカップの優先出走権が与えられるペガサスワールドC(G1、ダート1800メートル、ガルフストリームパーク)が現地29日に行われます。今年の見どころは、来月発表されるエクリプス賞年度代表馬を確実にするニックスゴー(牡6、父ペインター、B・コックス厩舎)と、G1ブリーダーズCダートマイルを完勝し、明け4歳馬のリーダーと目されるライフイズグッド(牡4、父イントゥミスチーフ、T・プレッチャー厩舎)の激突でしょう。

2017年に前身のドンハンデキャップを引き継いで創設されたペガサスワールドカップは今年で6回目。当初は総賞金1200万ドル(約13億6800万円)、優勝賞金700万ドル(約7億9800万円)で華々しく船出しましたが、システムを変えた一昨年からは優勝賞金も174万ドル(約1億9800万円)に落ち着いています。

これを最後に引退し、今春からケンタッキーで種牡馬入りするニックスゴーは、昨年このレースとブリーダーズカップクラシックの覇者。26日に発表されたワールドベストレースホースランキングでは、レーティング129で世界最強の座に就いており、ここを勝てば獲得総賞金で1000万ドル(約11億万円)を突破します。

昨年のブリーダーズカップクラシックのニックスゴーは、ジョエル・ロザリオ騎手を鞍上に注文通りの逃げを打ち、最初の800メートルを45秒77のハイペースで通過しながらも直線で後続を突き放して優勝。3歳馬の代表として参戦した3頭は、メディーナスピリット(ケンタッキーダービー優勝)が2馬身4分の3差の2着、エッセンシャルクオリティ(ベルモントステークス優勝)3着、ホットロッドチャーリー(ペンシルヴェニアダービー優勝、ベルモントステークス2着)4着と、古豪の前にそろって討ち死にしました。

ニックスゴーに挑むライフイズグッドは、来月26日のサウジカップ、そして3月26日のG1ドバイワールドカップを視野に入れての出撃。昨年はデビューから重賞2勝を含む3連勝を飾り、ケンタッキーダービーの最有力候補に挙げられましたが、目前の調教で負ったけがで3冠は全休。夏に復帰後は重賞で2、1、1着です。ブリーダーズカップで“ダートマイル”に向かったのは6月に前厩舎から移籍して、まだG1タイトルのなかったライフイズグッドにタイトルを取らせたいというプレッチャー調教師の想いもあったのでしょう。1800メートル戦は今回が初めてですが、血統は父がチャンピオンのイントゥミスチーフ(産駒にケンタッキーダービー馬のオーセンティック)、母の父がディストーテッドヒューマー(母の父としてモーニン、アロゲート、ゴールデンシックスティ)、祖母の母もエーピーインディ系のマインシャフトで、不安は少なそうです。

前売りオッズはニックスゴーが2・1倍の1番人気、ライフイズグッドは2・375倍の2番人気で拮抗(きっこう)。3番人気は10・0倍で一昨年のG1ジョッキークラブゴールドカップの覇者ハッピーセイヴァーとなっています。

思えば第1回のペガサスワールドカップでは、前年の“クラシック”を制した新4歳馬のアロゲートが年長馬を相手に完勝、その後、ドバイワールドカップも制したことで、金満レースの3連勝だけで1630万ドル(当時の交換レートで約18億7500万円)もの大金を稼ぎました。

次の第2回は今回のニックスゴーと同じローテーションで引退レースに臨んだガンランナーが新4歳馬を蹴散らして優勝しています。

果たして今年は新4歳馬が脚光を集めるアロゲートパターンか、種牡馬入りを前にした古馬が有終の美を飾るガンランナーパターンか。

サウジカップに向けて見逃せない一戦です。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績等は2022年1月27日現在

新本紙・松田記者。我が家の的中案内人
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冬の必需品。左は進物用、右は家庭用。
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