2・10エクリプス賞決定 ラヴズオンリーユー&マルシュロレーヌは・・・

米国エクリプス賞の受賞馬に贈られる重厚な台座がついたブロンズ像を持たせてもらったことがあります。場所は北海道新冠町のビッグレッドファームで、93年の年度代表馬と最優秀芝牡馬に選出されたコタシャーンが獲得したもの。ずっしりと重くエクリプス賞の重みが伝わってくるようでした。

今週19日水曜付の日刊スポーツ本紙にも書かせてもらいましたが、日本のマルシュロレーヌ(牝6、矢作)とラヴズオンリーユー(牝6、矢作)が、エクリプス賞の部門別ファイナリストになりました。

G1のブリーダーズカップ(BC)ディスタフで金星を挙げたマルシュロレーヌは最優秀古馬牝馬、G1のBCフィリー&メアターフを差し切ったラヴズオンリーユーは最優秀芝牝馬の候補です。

最優秀古馬牝馬は、シーズンを通して活躍したレトルースカが本命です。昨シーズンは8戦6勝、2着1回。BCディスタフは超ハイペースに巻き込まれて10着に敗れましたが、アップルブラッサムS、オグデンフィップスS、パーソナルエンスンS、それにスピンスターSと4つのG1勝ちは群を抜いています。直接対決でこれを撃破したマルシュロレーヌですが、投票になるといささか分が悪いようです。しかし、賞レースの結果はどうであれマルシュロレーヌの繁殖価値はあの一戦で激増したことに変わりはありません。

マルシュロレーヌがもし米国で繁殖入りして、一流種牡馬との間に子どもができれば、その子は性別にかかわらず少なくとも200万ドル(約2億2000万円)以上の値がつくはず。この血統を世界規模で発展させることも可能にする大きな鼻差でした。ともあれマルシュロレーヌは、来月26日のG1サウジCが最後のレースになるとのこと。いい形で引退の花道を飾ってもらいたいものです。

最優秀芝牝馬のファイナリストは、G1フラワーボウルSなど重賞を4勝(6戦)したウォーライクゴッデス(牝5)、欧州調教の3歳馬で夏のビヴァリーD・Sなど米G1を2勝してその後に事故死してしまったサンタバーバラ(21年5戦2勝)、そしてラヴズオンリーユーの3頭です。

最有力候補はラヴズオンリーユー。BCフィリー&メアターフが行われるまで、牝馬の米国芝戦線は地元のウォーライクゴッデスの強さが目立っていましたが、ラヴズオンリーユーが、これを直接対決でたたきのめして風向きは一変。その後の香港C完勝がダメ押しとなったようです。競馬に“たられば”はなしですが、もし、3月のG1ドバイシーマクラシック(勝ったミシュリフに首+首差の3着、2着クロノジェネシス)に勝っていれば・・・。現地時間の来月10日の発表が待ち遠しくなっています。

今回のエクリプス賞にはもうひとつの見どころもあります。それは、G1ケンタッキーダービーの勝ち馬メディーナスピリット(ケンタッキーダービーについては法廷闘争中、(馬は11月に心臓麻痺を起こしてこの世を去る)など管理馬の薬物疑惑が追及され、競馬サークルの内外から一気にアンチの声が高まるボブ・バファート調教師への反発が、選出にどんな影響を与えるか、です。バファート厩舎からは次の3頭が3つのカテゴリーのファイナリストとして挙げられています。

<最優秀2歳牡馬>

コーニッシュ ◎最有力

<最優秀3歳牡馬>メディーナスピリッット △難しい

<最優秀牝馬スプリンター>ガミーン ○有力

最優秀2歳牡馬のファイナリストのコーニッシュはデビューから3連勝でG1のBCジュべナイルに優勝。文句なしのチャンピオン候補であり、ケンタッキーダービーの前売りでも人気を集める大物です。9分9厘、受賞となるでしょうが、問題は彼の今後です。チャーチルダウンズ競馬場を所有するチャーチルダウンズ社は、バファート厩舎の馬を限りなく疑わしいとして“準汚染認定”しており、少なくとも来年までのケンタッキーダービーから締め出しを決めています。受賞の発表とともに陣営から何らかの方針が発表されるかもしれません。

最優秀3歳牡馬はエッセンシャルクオリティでほぼ決定。何の罪もなかったメディーナスピリットにはかわいそうな結果と言えそうです。

最優秀牝馬スプリンターのガミーンは21年5戦4勝で、うちG1に2勝しています。これをG1のブBCフィリー&メアスプリント(ガミーンは3着)で破ったシーシーは6戦4勝ながら、G1はこれだけ(他にG2とG3に各1勝)。8月のG1バレリーナHではガミーンがシーシーを3着に破っていて、評価は大きく分かれそうです。このあたりに投票権を持つ記者、関係者の批評眼が出るのかもしれませんね。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは21年1月21日現在

グリーンチャンネルでも放送されました。祝・競馬四季報50周年
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2月の展示会に向けて。種牡馬パンフが続々と
=2022/01/21
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