筆者の記憶に残る菊花賞馬は1973年武邦彦騎手に乗り替わったタケホープ

24日(日)は3冠最後の菊花賞。皐月賞馬もダービー馬もいませんが、3000メートルという距離で最も力を発揮する馬を血統や馬体、走法などから探し出す楽しみは菊花賞ならではでしょう。

欧州で菊花賞に当たるレースは、英国とアイルランドのセントレジャー、フランスのロワイヤルオーク賞ですが、アイルランドでは1983年に、フランスでは1979年から古馬に開放されてレースの性格は変貌。英国だけが3冠の概念を残すものの、勝ち馬のレベルは伝統を守る菊花賞にかないません。

名勝負の多い菊花賞ですが、筆者の記憶に強く残っているのは武邦彦騎手に乗り替わったタケホープが、ハイセイコーをゴール前で鼻だけかわした1973年(古い~)。低重心で胸の深いタケホープが、パワータイプの大型馬ハイセイコーをねじ伏せたシーンはステイヤーの資質=理想のサラブレッド=を考えさせてくれた貴重な一戦でした。

木曜夜は菊花賞が夢にまで出てきました。どんな夢かというと、イタコの口寄せよろしく、偉大なホースマンが現代によみがえって筆者を相手に本命馬を語るというもの。そのホースマンは社台グループの創始者の吉田善哉さんでした(笑い)。

お懐かしや。夢のエッセンスを短くまとめると以下のようなものでした。

善哉 菊花賞も息子たちのところの馬だろうね。でもね、気になっている馬がいるね。

奥野 なんですか? 教えてください。

善哉 牧雄くんのところのタイトルホルダーだな。

奥野 母系はバリバリのステイヤーですね。

善哉 それもあるが・・・。あんたノーザンテーストを買った時に私が言ったこと覚えているかい?

奥野 はい。どさんこみたいなノーザンダンサーがあれだけのスピードとスタミナを持っていて、子供が当たり前の格好に出たら、どれだけ走るだろうと思ってノーザンテーストを買ったんだとおっしゃってましたね。

善哉 そうだ。タイトルホルダーの姉はなんだね?

奥野 メロディーレーンですね。380キロぐらいのネズミのような馬ですが、2400メートルから2600メートルで3勝して菊花賞でもすごい脚で5着にきました。

善哉 だろ。あの姉の下で当たり前の格好に出たら、どれだけ走るのか、と興味を持っていたわけだ。

奥野 なるほど。ドゥラメンテを父に持つタイトルホルダーは前走466キロで、当たり前の格好に出た。

善哉 大きすぎず小さすぎずステイヤーとしては理想的な体形だね。

奥野 それで気になると・・・。

善哉 まあね。だが、ノーザンファームのステラヴェローチェにはかなわんだろうが(笑い)。

奥野 ステラヴェローチェは父がバゴですね。軽種場協会の。

善哉 それだけが気に入らない(笑い)。

タイトルホルダーの母メーヴェの血統表の中には、本格的なステイヤーに欠かせないサドラーズウェルズ(メーヴェの父モティヴェイターの祖父)とミルリーフ(メーヴェの母の父トップテーブルの祖父)の血が入っています。負けず嫌いの善哉さんのことです。もし、ライバルのタイトルホルダーが勝ったとしても「父親はうちのドゥラメンテだから」とかなんとか言って、ご自分を納得させるのでしょうが(笑い)。

今週のは「夢」の番外編でした。(ターフライター奥野庸介)

※競走成績は2021年10月22日現在。

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