凱旋門賞、8月の主要レースが終わっても優勝候補が5指に余り実力比較難し
7月30日のコラムで「今年の欧州競馬は3歳馬、古馬ともに層が厚く、特に2400メートル路線は群雄割拠の趣。凱旋門賞も優勝候補が5指に余り、実力比較を難しく・・・」と書きました。8月の主要レースが終わってもこの見解に変わりはありません。
ヨーク競馬場で18日に行われたG1インターナショナルSはミシュリフが6馬身差で完勝、19日のG1ヨークシャーオークスは大本命のスノーフォールが、英オークスと愛オークスに続き、ここも後続を突き放して快進撃を続けています。
ミシュリフのタイムフォームレーティングは131に上昇しました。G1凱旋門賞への参戦は五分五分のようですが、ゴスデン調教師は10月以降の出走候補レースとしてG1・ブリーダーズCターフとともにG1ジャパンCを挙げています。実現すれば久々の大物登場となります。期待しましょう。一方、3着に敗れたラヴのレイティングは124から122にダウンしました。調子の波が激しいガリレオ産駒に共通した難しさを感じさせていて昨シーズンの輝きが、すっかりうせてしまった印象です。
けがでインターナショナルSを回避したセントマークスバシリカは9月12日のG1愛チャンピオンSに矛先を変えましたが、このひと頓挫が嫌気されたか、凱旋門賞の前売りは5番人気に後退しています。凱旋門賞では初距離も心配のひとつになりそうです。
G1ヨークシャーオークスを制したスノーフォールのレーティングは愛オークス時から1ポイント上がって124になりました。どうやら9月は休んで、凱旋門賞直行となる模様。ここ10年でヨークシャーオークス優勝から、凱旋門賞に直行した馬の成績は2017年エネイブルが優勝、2018年シーオブクラス、2019年エネイブルはともに2着で、連対率は100%。スノーフォールにとって前向きなデータになっています。
人気が予想されるゴドルフィンの3歳牡馬(アダイヤーとハリケーンレーン)を除けば、休み明け初戦のG3バリーローンSを制したタルナワと、こちらもぶっつけで挑む日本のクロノジェネシスの2頭に注目が集まりそうです。ともに凱旋門賞は初挑戦となりますが、どちらも末脚強靱(きょうじん)で勝って不思議ない実力の持ち主。馬券的にも狙って面白い存在になっています。もし、当日の馬場が悪化するようならヨークシャーオークスで4着に敗れたワンダフルトゥナイトの巻き返しがありそうです。道悪の実績は最右翼。一昨年のヴァルトガイスト、昨年のソットサスはともに水気をたっぷりと含んだ馬場を味方にして優勝をもぎとりました。
もう1頭の日本馬ディープボンドは前哨戦のG2フォワ賞の結果を見てからということにしましょう。
凱旋門賞有力候補のレーティングと負担重量と前売り人気は以下のようになっています。
アダイヤー 牡3 131 56・5キロ 4・5~5・5倍(2番人気)
ミシュリフ 牡4 131 59・5キロ 9・0~13・0倍(5番人気)
セントマークスバシリカ 牡3 130p 56・5キロ 9・0~13・0倍(5番人気)
タルナワ 牝5 125 58キロ 6・0~7・0倍(3番人気)
クロノジェネシス 牝4 125 58キロ 15・0~17・0倍(8番人気)
スノーフォール 牝3 124 55キロ 3・0~3・25倍(1番人気)
ハリケーンレーン 牡3 123p 56・5キロ 7・0~9・0倍(4番人気)
ディープボンド 牡4 123 59・5 26・0~51・0倍
ラブ 牝4 122 58キロ 17・0~21・0倍(9番人気)
ワンダフルトゥナイト 牝4 122 58キロ 10・0~13・0倍(7番人気)
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績は2021年8月27日現在。
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