3歳vs古馬、4頭立ても見応えありそうなエクリプスS

3歳と古馬のトップが激突する英国のエクリプスS(G1、芝1990メートル、サンダウン)が3日に行われます。

英ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの間に位置する歴史のある重賞です。1886年に創設されて途中、戦争などで中止された年もあって、今年が124回目です。

過去には英ダービー馬のミルリーフが人気に応えて快勝。仏ダービー2着から向かったサドラーズウェルズ、英ダービーは2着だったダンシングブレーヴが古馬を倒して優勝するなど、20世紀を代表する大種牡馬も勝ち馬に名を連ねています。

思い出されるのは5歳牡馬のノットナウケイトが優勝した07年の開催です。まだ22歳だったライアン・ムーア騎手の乗る3番人気のノットナウケイトが直線に向いた途端に馬群から離れて無人の外ラチ(生け垣)に向かってまっしぐら。内でやりあった英ダービー馬オーソライズド(2着)と古馬代表のジョージワシントン(3着)の死角となった大外から一気にゴールを駆け抜けて、観客をあぜんとさせました。英国競馬の「奇襲シーン」の定番です。今見直しても相当な距離損をしていてよく勝ったものだなぁ、と感心します。

コロナ禍によって4歳以上に出走条件を変えた昨年はディアドラの参戦によって日本でも馬券が発売されました。レースはのちに全欧年度代表馬となるガイヤースが逃げ切ってエネイブルが2着、3着にジャパンが頑張ってディアドラは7頭立ての5着でした。

レースの負担重量は4歳以上の牡馬・セン馬が9ストーン7ポンド(約60・3キロ)、3歳の牡馬・セン馬は8ストーン11ポンド(約55・8キロ)。牝馬はそれぞれ3ポンド減(約1・4キロ)。3歳馬に有利に設定されています。

ここ10年は5歳馬が5勝して、4歳馬が2勝。3歳馬は15年ゴールデンホーン、16年ホークビル、19年ロアリングライオンの3頭にとどまっていますが、ゴールデンホーン(英ダービー優勝)とロアリングライオン(英ダービー3着)はのちに年度代表馬になっています。

今年の見どころは3歳代表のセントマークスバシリカ(牡3、父シユーニ、A・オブライエン)と古馬を代表して受けて立つミシュリフ(牡4、父メイクビリーヴ、J&T・ゴスデン)の激突です。

セントマークスバシリカは昨年10月のデューハーストSでG1初制覇。今年はぶっつけで仏2000ギニー(G1)を制し、距離を2100メートルに延ばした仏ダービーも難なく制して、いよいよ古馬に挑戦です。

一方のミシュリフは2月のサウジカップ(ダート1800メートル)で米国のトップクラスを破り、3月のドバイシーマクラシック(G1、芝2410メートル)ではクロノジェネシス以下を押さえて優勝。ダートも距離も「一発回答」をたたき出して一回り大きくなって欧州に戻ってきました。

人気は順調に使われている強みと、重量有利が加味されてセントマークスバシリカがわずかに上回っていましたが、週中の雨でその差は逆転。ミシュリフが2・5倍の1番人気となっています。当日はさらに馬場が悪くなることも予想されていて、時計のかかる馬場に強い古豪アデイブの人気もじわじわ上昇しています。4頭立てながら見応えのある一戦になりそうです。(ターフライター奥野庸介)

※競走成績は2021年7月1日現在。

ワクチン打ったし。行きたいなぁ。フランス
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ワクチン打ったし。そろそろ行きたいなぁ。香港
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