英1000ギニーはマザーアースV、欧州で開催されたギニーレース振り返る

今回は欧州で行われたギニーレースの勝ち馬を駆け足で振り返ります。言わずもがなですが2000ギニーは日本の皐月賞にあたるレース、1000ギニーは桜花賞のそれで、英国はニューマーケット競馬場の直線1600メートル、フランスはパリ・ロンシャン競馬場、アイルランドはカラ競馬場の右回り1600メートルで競われます。レース名の由来は、レースの創設初期に勝ち馬に与えられた賞金のこと。聞き慣れない「ギニー」は現在は主に馬の支払いに使われる貨幣単位で、馬を扱う人が受け取る5%のチップ込みの金額。ポンドの1・05倍です。

欧州クラシックレースの幕開けとして5月1日に行われた英2000ギニーはベテランのケヴィン・マニング騎手(54歳)の乗ったポエティックフレア(牡3、父ドーンアプローチ)が優勝しました。9番人気で出走したポエティックフレアはジム・ボルジャー調教師(79歳)のジャッキー夫人の所有馬。マニング騎手はその娘婿で、オーナー、生産者、調教師、騎手のすべてがボルジャーファミリーです。これで5戦4勝となりました。

この翌日に行われた英1000ギニーはデットーリ騎手の乗るマザーアース(牝3)が制しました。マザーアースは毎年クラシックをにぎわすクールモアの所有馬で2歳時に8戦1勝。父はフランケルと好勝負を演じたゾファニー(今年1月に死亡)。以前は宿敵同士だったエイダン・オブライエン調教師とデットーリ騎手が手を組んで勝利に導きました。

5月16日に行われた仏2000ギニーはオブライエン厩舎のセントマークスバシリカ(牡3)が優勝しました。セントマークスバシリカは凱旋門賞馬ソットサスを出したシユーニの産駒で、19年の英2000ギニーを制したマグナグレーシア(父インヴィンシブルスピリット)の半弟。昨年10月のG1デューハーストSを制した実力馬です。英2000ギニーから中1週での挑戦となったポエティックフレアは直線で前が開かず6着。セントマークスバシリカは6月6日に行われる仏ダービー(G1、芝2100メートル、シャンティイ競馬場)の最有力馬になっています

仏2000ギニーに続いて行われた仏1000ギニーはクリスチャン・デムーロ騎手を鞍上にした10番人気のクールサンバ(牝3)が優勝。英1000ギニーを制したマザーアースは2着でした。クールサンバは日本で活躍するユニコーンライオン(牡5、矢作、父ノーネイネヴァー)の半兄で、フランスで種牡馬入りしたザワウシグナルの産駒。次走はロイヤルアスコット開催のコロネーションS(G1、芝1600メートル、アスコット競馬場)になる模様です。

5月22日に行われた愛2000ギニーは2頭出しで臨んだジム・ボルジャー厩舎のマックスウィニー(牡3、父ニューアプローチ)が優勝。英2000ギニー優勝、仏2000ギニー6着のポエティックフレアは短頭差の2着に惜敗しました。マックスウィニーの次走は6月5日の英ダービー(G1、芝2410メートル、エプソムダウンズ競馬場)になります。

この翌日(5月23日)の愛1000ギニーはゴール寸前に強襲したエンプレスジョセフィン(牝3)が優勝しました。エンプレスジョセフィンはガリレオ産駒で、16年の全欧年度代表馬に輝いた名牝マインディングの全妹という良血。エイダン・オブライエン調教師は、このレース3連勝で最多の10勝目となっています。

(ターフライター奥野庸介)

競走成績は2021年5月28日現在

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