クロノジェネシスなど参戦ドバイシーマC&WC展望

先週に続いて馬券発売される4競走のうち、クロノジェネシス、ラヴズオンリーユーが参戦するドバイシーマクラシックと、チュウワウィザードがチャレンジするドバイワールドカップの展望、見どころに触れます。

【ドバイシーマクラシック】

メイダン競馬場に舞台が移った2010年から前回開催の19年までの10年間で、日本馬はのべ18頭が参戦して1着1回、2着4回、3着3回。馬券圏内となる3着以内には下記の、のべ8頭が食い込みました。

10年2着ブエナビスタ(牝馬)、13年2着ジェンティルドンナ(牝馬)、14年1着ジェンティルドンナ(牝馬)、15年3着ワンアンドオンリー、16年2着ドゥラメンテ、同3着ラストインパクト、19年2着シュヴァルグラン、同3着スワーヴリチャード

人気は春秋グランプリを制したクロノジェネシス、2400メートルのパリ大賞と香港ヴァーズを制したモーグル、ダートのサウジカップに優勝して、ここに矛先を向けたミシュリフが分け合い、ラヴズオンリーユーは米国の逃げ馬チャンネルメイカー、それに3月6日のドバイシティオブゴールドで初重賞を飾ったウォルトンストリートとともに第2グループになりそうです。

クロノジェネシスは、これが海外初挑戦ですが、半姉ノームコアは昨年の香港Cに快勝し、近親のキャプテンスティーヴはナドアルシバ競馬場で行われた01年のドバイワールドカップ優勝馬と、血統的な奥行きあって、好勝負必至。逃げ馬の後ろでスパートのタイミングを計るでしょう。

ライバルもモーグルに絞れそうです。パリ大賞で退けたインスゥープは、のちに凱旋門賞で2着。香港ヴァーズでは地元最強のエグザルタントを3馬身ちぎるなど、この距離なら引けを取りません。勝つのは2頭のどちらかとみています。

逆にミシュリフは危ない人気馬になる可能性があります。2100メートルの仏オークスに勝っていますが、2400メートル(レースは2410メートル)は初めて。短期間で2度の中東遠征、ダートから芝への舞台替わりなど不安材料がそろっています。単騎の逃げをスタイルにするチャンネルメイカーは欧州や日本に比べて層の薄い米国の芝のチャンピオンホース。相手関係を考えると、強くは推せません。ラヴズオンリーユーは、オークスでクロノジェネシス(3着)を一蹴しており、本調子にあれば2強に割って入っても不思議ありません。地元のウォルトンストリートは相手が強くなってどこまでやれるでしょうか。

【ドバイワールドカップ】

フルゲートの14頭が出走を予定しています。出走馬の内訳は地元UAEから5頭、米国が4頭、あとは日本、サウジアラビア、バーレーン、フランス、ウルグアイから1頭ずつとなっています。英国のブックメーカーがつける前売りの1番人気はG3レイザーバックSを勝って米国から乗り込んだミスティックガイドで3・5倍。これに1月のG1ペガサスワールドカップで2着した米国馬ヘスースチームが5・0倍で続き、地元勢はミリタリーロー7・0倍、前哨戦のG2アルマクトゥームチャレンジラウンド2とG1ラウンド3を連勝したサルートザソルジャー8・0倍。11・0倍から15・0倍に5頭がひしめき、この中にチュウワウィザード(15・0倍)も含まれています。

出走馬のうちG1馬はアフステフィスカル、キャッペザーノ、サルートザソルジャー、チュウワウィザードの4頭。ここ1年のダートG1の勝ち馬に限るとサルートザソルジャーとチュウワウィザードのたった2頭だけという寂しさ。昨今の大相撲を引き合いに出すのは気が引けますが、どっしりとした横綱、勢いのある大関の姿のないレースになりました。

ミスティックガイドは6馬身差で圧勝した前走が評価されています。モハメド殿下のゴドルフィン所有馬であることも人気に拍車をかけているようですが、G1は2着が最高で、実力はまだ未知数。このメンバーに入って1番人気は荷が重いように思えますが・・・

本番が近づくにつれてじわじわと人気を集めてきたヘスースチームは1月のペガサスワールドカップの2着馬(勝ち馬のニックスゴーはサウジカップに挑んで4着)。持続力のある末脚が、好感されているようです。せりで3万ドル(約315万円)の掘り出し物で、近親には菊花賞馬のエアシャカール、安田記念のモズアスコット、名種牡馬ブライアンズタイムなどがいます。

昨年のG2アルマクトゥームチャレンジラウンド2とG1アルマクトゥームチャレンジラウンド3で、ともに2着したミリタリーローが地元の星。サウジカップでは見せ場も作れず6着でしたが、ラウンド2でベンバトルに2馬身差の実績は軽視できません。

バーレーン調教馬で初優勝を狙うサルートザソルジャーはここまで順調に来ましたが、相手が一段と強くなるここは試金石。枠順も外(11番)が当たって主導権争いに加わるまで苦労しそうなことも気がかりです。

サウジでひとたたきを好材料と捉えてチュウワウィザードを狙う手もありそうですが、メイダンのダートは日本馬にとっては高い壁。コースの克服が鍵を握っています。

伏兵候補は本番を見据えて前哨戦をたたき台にした馬たち。G1アルマクトゥームチャレンジラウンド3で2着したハイポセティカル、3着のアフステフィスカル、4着のザグレートコレクションにも注意が必要かもしれません。過去24回の開催で前哨戦の負けから本番で巻き返した馬は連覇したサンダースノーなどのべ6頭。このあたりが馬券に絡むと配当も良くなりそうです。

例年に増して一筋縄で行かないレースであることは間違いありません。(ターフライター奥野庸介)

※成績等は2021年3月25日現在。

2020年3月。都内に非常事態宣言が出される前の桜
2020年3月。都内に非常事態宣言が出される前の桜
2021年3月。非常事態宣言解除のあとの桜
2021年3月。非常事態宣言解除のあとの桜