海外は中東から始動 ボーディエクスプレスに注目

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

コロナ禍によって競馬もまだ先行き不透明ですが、大きな変化がなければ今年も海外競馬は中東から始まります。昨年創設されたサウジCをメインイベントとするサウジCデーは2月20日に行われ、3月27日のドバイWC開催に向けたメイダン競馬場の“ドバイWC・カーニバル”はすでに1月2日から始まっています。

昨年はレース目前での断念となったドバイは、昨年を中止でなく「順延」とした以上、是が非でも開催にこぎつけたいところでしょう。

2021年のドバイWCでーはG1ドバイWCの総賞金こそ1200万ドル(約12億6000万円)で据え置かれたものの、残りの8レースの賞金額はすべて減額され、純血アラブ種によるドバイカハイラクラシックを含む9つのレースの総賞金は昨年の3500万ドル(約36億7500円)から約24・3%減となる2650万ドル(約27億8300万円)になることが昨年末に発表されました。

芝のG1ドバイシーマCは賞金総額が600万ドル(約6億3000万円)から500万ドル(約5億2500万円)へ、同じく芝のG1ドバイターフも600600万ドル(約6億3000万円)から400万ドル(約4億2000万円)に下方修正され、G2UAEダービーは250万ドル(約2億6300万円)から一気に75万ドル(約7880万円)にダウンしました。

ドバイ(マクトゥームファミリー)といえども昨シーズンの欧州競馬がかぶった賞金額減少の影響は避けられなかったということでしょうか。

本来であれば、砂の競馬をメインとするサウジやドバイで主役となるべき米国勢ですが、今年はトップクラスが相次いで引退。年度代表馬をほぼ確実にするオーセンティックを筆頭に、そのライバルでG1ベルモントSの覇者ティズザロー、昨年のサウジCで1位入線したマキシマムセキュリティ、G1メトロポリタンハンディキャップの覇者ヴェコマ、G1・3勝でG1BCクラシック2着のインプロバブル、それに昨年のG1ペガサスWCの覇者で、サウジC4着のムーチョグストなど牡馬戦線の最前線にいた馬たちがそろって表舞台から姿を消して、やや手薄な印象は否めません。

その中で気を吐いているのがボーディエクスプレス(牡5、父ボードマイスター)です。3歳時はG1フロリダダービーでマキシマムセキュリティの2着して、G1ケンタッキーダービーにも駒を進めましたが、最終コーナーで馬群がごちゃついたあおりを受けて13着。続くG1プリークネスSではゲートが開くと同時に立ち上がって鞍上のJ・ベラスケス騎手を投げ出して競走中止。ツキにも見放されていましたが、昨年は10月の一般戦を11馬身4分の1差で圧勝し、シーズンの最後の一戦となった11月のG1クラークS(チャーチルダウンズ、ダート1800メートル)でケンタッキーダービー2着馬で、G1・2勝のコードオブオナーを抑えて遅ればせながら本格化をアピールしました。

血統は祖父が日本に輸入されたエンパイアメーカーで、父ボーディマイスターはケンタッキーダービー馬のオールウェイズドリーミングを出す生産界注目の新鋭です。

トップクラスの顔ぶれが入れ替わったタイミングで表舞台に飛び出してきた印象は否めませんが、デビュー時から潜在能力の高さが知られていた馬。ボーディエクスプレスが描く上昇曲線と中東のビッグレースの日程がうまい具合に重なっている点にも注目です。(ターフライター奥野庸介) ※競走成績等は2021年1月7日現在。

※1月15日のコラムはお休みします。次回は22日にアップします。

お正月の表参道。良い“気”が流れています
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お正月の表参道風景。ゆっくり歩けました
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