スケジュール混乱に珍事もコロナに翻弄された競馬界
いよいよ有馬記念ですね。ファン、主催者、関係者の協力で日本の競馬は滞りなく終わることが出来そうです。しかし、世界的に見ると春からの10カ月は新型コロナウイルス流行に翻弄(ほんろう)されたシーズンでした。今でこそ入場制限を設けていますが、当初は密を避けるため無観客での開催が常態化し、騎手はマスクを着用して競馬に臨みました。国をまたいだ人の移動にも制約があったため、競走馬の国外遠征に際しては騎乗者の確保に腐心する調教師の姿もありました。これまであまり見ることのなかったコンビ。クールモアの馬にランフランコ・デットーリ騎手やアブデュラ殿下の馬にライアン・ムーア騎手などの実現はコロナ禍あっての“珍事”でした。
日本や香港など一部の競馬国を除いてG1競走のスケジュールは大きな変更が余儀なくされ、欧米では賞金も大きく減らされました。
欧州パート1国では春シーズンの立ち上がりが遅れ、ロックダウンによって3月半ばからは相次いで開催が中止。再開はドイツやフランスで5月初旬、英国やアイルランドでは6月にずれこみました。
欧州ではいつもは6月の第1土曜日に行われるG1英ダービーが1カ月遅れの7月4日となるなど、夏までスケジュールが混乱しました。
米国では3冠競走の日程が変更されて開催順が変わり、ふだんは締めくくりとなるG1ベルモントSが距離を2400メートルから1800メートルに短縮された上で、6月20日に開催。G1ケンタッキーダービーとG1プリークネスSは史上初の秋の開催となりました。
主要G1競走では英国のロッキンジS、米国のアーリントンミリオン、カナダのカナディアン国際Sなどが取りやめとなり、英ダービーはスポンサー企業の撤退も重なって賞金総額が前年の162万3900ポンド(約2億2700万円)から一気に3分の1の50万ポンド(約7000万円)にまで減額されてしまいました。賞金減は欧州競馬の2大巨人、クールモアグループもゴドルフィンの懐も直撃し、2021年の広報予算などは大幅に縮小されるようです。
海外を目指した日本馬にもコロナ禍の影響は及び、3月28日のドバイWCデーのために海を渡ったアーモンドアイなど20頭の日本調教馬はドバイ到着直後の中止発表によってレースに出走する機会のないままの帰国となりました。
ちなみに幻のドバイ組からはドバイシーマCを目指したカレンブーケドール(牝4、国枝、父ディープインパクト)とラヴズオンリーユー(牝4、矢作、父ディープインパクト)、ドバイターフに挑戦するはずだったペルシアンナイト(牡6、池江、父ハービンジャー)が有馬記念に出走します。
さて、2020年の「海外競馬を知ろう」は今回が最後です。海外競馬をクリックしてお付き合いいただいた皆さまには感謝いたします。2021年はどうか良い1年になりますように。馬券も当たりますように。(ターフライター奥野庸介)
※競走成績等は2020年12月25日現在。
※次回は2021年1月8日更新予定です。
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