凱旋門賞でも使用ヘルメットカメラ迫力満点是非採用を

凱旋門賞の予想は◎サーペンタイン(不戦敗)、○モーグル(不戦敗)、▲ストラディバリウス(7着)、☆エネイブル(6着)、△ジャパン(不戦敗)、△ソヴリン(不戦敗)、ソットサス(1着)、ラービアー(5着)という散々なものでした。

結果はご存じのようにソットサスが優勝、能力不足としてノーマークだったインスウープが最後に猛然と追い込んで2着(くわっー)、3着にペルシアンキングが逃げ粘りました。

フランスギャロの公式ホームページで、4着に健闘したゴールドトリップに騎乗したステファン・パスキエ騎手のヘルメットカメラによる映像を見たのですが、勝ったソットサスはゴールの手前で外に斜行しており、クリスチャン・デムーロ騎手は6日間の騎乗停止処分を受けました。中継の映像では馬群の真ん中に挟まれた格好のエネイブルとストラディバリウスの外からゴールドトリップにかぶせられたように見えましたが、C・デムーロ騎手のペナルティーは「エネイブル、ストラディバリウス、それにシャシュナック(11着)の進路を妨害した」とされており、内からも寄られたことも敗因のひとつだったようです。

それにしても、ヘルメットカメラの映像は迫力があり、尚かつ説得力が半端ありません。システムとしては抽選で当たった騎手が、極小のカメラと小型の送信機を装着して出走、これらは負担重量に含まれることになっています。

フランスではレースを終えた騎手が、夜のテレビ番組にゲスト出演して「隣の馬にかみつかれそうになったぜ」とか「あいつはいっつも邪魔っ!」など歯に衣(きぬ)着せぬ発言でファンを楽しませてくれます(笑い)。

フランスではゲート上空の映像のみでしか採用されていないようですが、ドローンの活用も競馬観戦を面白くしてくれます。

筆者が驚いたのはカタールの競馬場です。スタンド最上階の屋根の空間部分に円盤形のドローンが潜んでいて、スタートと同時に自動操縦で屋根から飛び出して馬群を追いかけてレースが終了すると、巣に戻ってくる動作がすごくチャーミングでした。

門外漢で詳しいことはわかりませんが、日本ではドローンの使用は難しいのかも知れませんが、ヘルメットカメラは是非採用してもらいたい施策です。

凱旋門賞の回顧に戻ります。ソットサスは父がフランスのリーディングサイアーのシユーニ(その父ピヴォタル)、母はガリレオの娘のスターレッツシスター。ソットサスの2歳上の半姉シスターチャーリー(父マイボーイチャーリー)は米国でBCフィリーアンドメアターフ(G1、芝2200メートル)などG1・7勝を含む10勝(15戦)を挙げて、18年のエクリプス賞最優秀芝牝馬に選ばれています。

ソットサスは17年のドーヴィル1歳馬セールでオセアニック・ブラッドストック社に34万ユーロ(約4250万円)で落札され、ジャン・クロード・ルジェ厩舎に入厩。2歳時に2戦1勝、昨年は5戦してシュレンヌ賞(芝2000メートル)、仏ダービー(G1、芝2100メートル)、秋のニエル賞(G2、芝2400メートル)に優勝。凱旋門賞はヴァルトガイスト、エネイブルに続く3着でした。

今年は5月のアルクール賞(G2、芝2000メートル)4着を皮切りに4戦し、6月のガネー賞(G1、芝2100メートル)に優勝。前走の愛チャンピオンS(G1、芝2000メートル)は5歳牝馬のマジカルに2馬身差の4着でした。

陣営には地元で同日に行われたG2フォワ賞という選択肢もありましたが、あえてアイルランドに遠征。ここで負けたことで人気を落とすことになりました。

仏ダービーの距離が2400メートルから2100メートルに短縮された05年以降、その勝ち馬が凱旋門賞を制したのは、これが初めて。ルジェ調教師(67歳)は、アンドレ・ファーブル調教師と並ぶフランス競馬サークルの重鎮ですが、これまで凱旋門賞には縁がなく、うれしい初勝利となりました。鞍上のC・デムーロ騎手(28歳)は、日本で騎乗するミルコ・デムーロ騎手の弟。母国イタリアで5度、リーディングジョッキーに輝きましたが、イタリアの競馬が機能不全に陥った15年から活躍の場所をフランスに移しました。日本でもアユサンで13年の桜花賞、ダノンファンタジーで18年の阪神JFを制しています。今回はお手馬がかち合いましたが、迷いなくソットサスを選んだと言います。

オーナーのホワイトバーチファームは米国で不動産開発など多様なビジネスを成功させ、世界的なアートコレクター(アンディー・ウォホールなどのパトロンだそうです)となったピーター・ブラント氏(73歳)の競馬法人。トランプ大統領とは幼なじみというブラント氏は1980年代にオーナーとなって競馬の世界に参入。ガルチなどG11ウイナーを所有し、95年のケンタッキーダービーとベルモントSを制し、のちに日本に種牡馬輸入されるサンダーガルチ(父ガルチ)を生産しています。その後、競馬熱が冷めた時期もありましたが、近年になって再び競馬に情熱を注ぐようになったのは庭先で購買したシスターチャーリーの活躍があったから。事前の報告でチャンスありと判断したブラント氏は米国からの出入国が困難な時にあって、ソットサスの応援のためにパリにおもむき、感動シーンに立ち会いました。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績等は2020年10月9日現在。

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