“キングジョージ”56年ぶり4頭立て エネイブルの対抗馬は?

70回目のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1、芝2390メートル、アスコット)が25日に行われます。

“キングジョージ”は欧州クラシックを勝ち抜いてきた3歳馬が古馬のトップクラスとぶつかって上半期の最強馬を決めるレースとして知られていますが、最近は3歳のトップクラスの参戦が少なく、今年も英ダービーを逃げ切ったサーペンタインや愛ダービー優勝のサンティアゴの姿はありません。

過去に2度制した馬はフランスの牝馬ダリア(1973年、74年に優勝)と世界を転戦する“グローヴトロッター”の先駆けとなったスウェイン(1997年と98年)、そして凱旋門賞優勝(未踏の3勝)を大目標に今シーズンも現役を続ける欧州女王エネイブル(17、19年)です。今年エネイブルが勝てば、史上初の同重賞3勝馬となります。

オフィスには“キングジョージ”を扱った書物が何冊かあって、それらをパラパラとめくっていると1970年代の勝ち馬が目をひきます。

ニジンスキーは1970年の勝ち馬。英国2冠を制した後、ここで古馬を血祭りにして秋のセントレジャーで3冠を達成しました。翌71年の勝ち馬は鋼鉄の精神と馬体を備えたミルリーフ、72年は競走馬としては天下一品だったブリガディアジェラード、73年と74年は前出のダリアで、3歳時は後続を6馬身ちぎっています。75年はのちに日本に輸入されるグランディが優勝。宿敵バスティーノとの壮絶なたたき合いは今もファンの語り草です。76年は英国とフランスのオークスを制した名牝ポウニーズ、ノーザンダンサーブームのまっただ中にあった77年はのちに高額シンジケートが組まれるザミンストレル、78年はニジンスキー産駒のイルドブルボン(輸入種牡馬)、79年は第200回の英ダービー馬となったトロイが優勝。その鞍上はウィリー・カーソンでした。70年代の“キングジョージ”の歴史が、欧州競馬の黄金時代を伝えています。

話を今に戻しましょう。今年は8頭が出走を予定していましたが、半数が目標を別のレースに変えたため、ゲートに並ぶのはジョン・ゴスデン厩舎のエネイブルと、エイダン・オブライエン厩舎のジャパン、アンソニーヴァンダイク,ソヴリンだけになりました。4頭立ては東京オリンピックが行われた1964年以来、56年ぶりだそうです。

枠番(馬番)、馬名(性齢、父) 騎手、調教師、オッズ

1(1)アンソニーヴァンダイク(牡4、ガリレオ)O・マーフィー、A・オブライエン、12・0

2(2)ジャパン(牡4、ガリレオ)R・ムーア、A・オブライエン、3・75

3(4)エネイブル(牝6、ナサニエル)L・デットーリ、J・ゴスデン、1・5

4(3)ソヴリン(牡4、ガリレオ)W・ビュイック、A・オブライエン、13・0

今年2戦目となるエネイブルの相手は、プリンスオブウェールズS4着、エクリプスS3着と一戦ごとに良化の兆しを見せるジャパン(牡4、父ガリレオ)。主戦のライアン・ムーア騎手が騎乗します。

逃げるのは昨年の愛ダービーで大逃げを成功させたソヴリン、その後ろにジャパンとエネイブル。昨年の英ダービー優勝を最後に勝ち鞍のないアンソニーヴァンダイクは控えて漁夫の利を狙うことになりそうです。

エネイブルの目標はあくまでも凱旋門賞ですが、3歳馬不在のここは余裕を見せて勝っておきたいところ。レースに注目したいと思います。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績等は2020年7月23日現在。

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