香港クラシックシリーズ ダービーはワイククに注目

今週は香港の話をしましょう。日本でフェブラリーSが行われた17日、香港のシャティン競馬場では3つの重要レースが開催されました。

4月のクイーンエリザベス2世カップ(G1)に連なる香港ゴールドC(G1、芝2000メートル)、チャンピオンズマイル(G1)を占う意味で見逃せないクイーンズシルヴァージュビリーC(G1、芝1400メートル)、そして4歳馬による香港クラシックC(芝1800メートル)です。

香港ゴールドCは、暮れの香港ヴァーズでリスグラシューを2着に下したエグザルタントが、一段とパワーアップした姿を披露して快勝。チャンピオンズマイルは“世界のマイル王”ビューティージェネレーションが順当勝ちしました。この日のメイン競走として行われた香港クラシックCは、1月の香港クラシックマイルと、3月の香港ダービーに挟まれた香港クラシックシリーズの第2関門。制したのは地元のK・C・リュン騎手の乗る単勝93倍のミッションタイクーン(セン4、父リッテンタイクーン)でした。

香港クラシックシリーズは外国調教馬に参戦資格のない香港4歳馬限定の3冠競走なのですが、出走に制限があるのでグレードはついていません。紛らわしいのは香港では同時期に3つの“3冠”が並行して行われていること。クラシックシリーズを単純に“3冠”と呼ぶことは出来ません。3冠と呼ばれているのは、香港スピードシリーズの別名を持つ短距離3冠〈1月のセンテナリースプリントC(G1、芝1200メートル)、2月のクイーンズシルヴァージュビリーC(G1、芝1400メートル)、4月のチェアマンズスプリントプライズ(G1、芝1200メートル)で構成〉と、そのものずばりの香港3冠。後者は主に5歳以上の馬による1月のスチュワーズC(G1、芝1600メートル)、2月の香港ゴールドC(G1、芝2000メートル)、そして5月のスタンダード・チャタード・チャンピオンズアンドチャターC(G1、芝2400メートル)の3競走です。

個人的にはキャリアが同世代の馬たちが距離を徐々に延ばして3つを戦い抜く香港クラシックシリーズこそ“3冠”という呼び名がふさわしいのでは、と思っているのですが(笑い)。

話を香港クラシックシリーズに戻しましょう。今年のクラシックシリーズはオーストラリアから転籍したダークドリームという馬を中心に回るものとみられていました。ダークドリームはオーストラリアで10戦4勝、2着5回。香港に渡る直前のクイーンズランドダービーを制した堂々のG1ウイナーです。昨年12月の香港初戦は勝ち馬に首差3着でしたが、2戦目の2000メートル戦で初勝利を挙げると3戦目で香港クラシックマイルに出走。S・デソウサ騎手で単勝2・8倍の1番人気になりましたが、3番人気のフローリの4着に負けてしまいました。香港クラシックカップではZ・パートン騎手に手替わりしたこともあって単勝1・9倍の支持を集めましたが、同厩舎のミッションタイクーンの逃げを捕まえきれず2着に終わり、なかなか期待に応えられずにいます。

香港クラシックマイルでも2着に頑張ったミッションタイクーンは、いつもなぜか人気がなく、その時は単勝205倍で、馬連は581倍の大穴。1番人気との組み合わせとなった香港クラシックCの馬連も82倍と、穴党に好配当をプレゼントしています。

残る香港ダービーは3月17日(日曜)。さすがにミッションタイクーンも人気になりそうですが、現地の友人たちは、最初の2つをパスした馬の台頭を予測しています。その馬のレース映像を見ると、なるほどとうなずける強さ。香港ダービーに勝つようなら日本でも馬券発売する可能性の高い4月のクイーンエリザベス2世カップでも要注意の一頭となりそうです。

その馬の名前はワイククといいます。J・ムーア厩舎で鞍上はJ・モレイラ。オーストラリアで2戦1勝、2着1回。香港では4戦3勝、2着1回で連対率100%。調教師もダービー狙いをにおわせています。(ターフライター・奥野庸介)

※競走成績等は2019年2月21日現在

新冠にあるハイセイコー像。さらばハイセイコーの歌声がよみがえる
新冠にあるハイセイコー像。さらばハイセイコーの歌声がよみがえる
衛兵交代に特別参加!な、わきゃない(笑)
衛兵交代に特別参加!な、わきゃない(笑)