リッケンバッカー「出して」「ためて」「伸びる」/NHKマイルC

NHKマイルCは前哨戦の結果が直結しない。東京と同じ左回りのファルコンSは1400メートル。マイル戦のアーリントンC、ニュージーランドTは右回りだ。着順より内容を重視。水島晴之の「前哨戦その一瞬」は、アーリントンC2着リッケンバッカー(牡3、西村)に注目する。「出して」「ためて」「伸びる」。3拍子そろった競馬センスに、可能性を感じた。

アーリントンCで2着のリッケンバッカー(右端)
アーリントンCで2着のリッケンバッカー(右端)

操作性抜群!一発あるリッケンバッカー

アーリントンCは前残りの競馬だった。逃げたピクシーナイト(4着)の前半1000メートルは59秒2。重馬場を考えれば平均ペースだが、高速決着が続いた阪神の芝。結果は2番手ホウオウアマゾンが勝って、3、4番手追走のワールドバローズ、レイモンドバローズも5、3着に粘った。先行馬が上位を占める中、1頭だけ馬群を割って伸びたのが2着リッケンバッカーだ。

差しが届きにくい状況でなぜ連対できたのか。理由は「出す」「ためる」「伸びる」の3拍子そろった操作性の良さだ。

(1)(ゲートを)出す スタートは普通。幸騎手は仕掛けてポジションを取りにいった。掛かる恐れがあれば積極的には出していけない。この安心感が競馬をしやすくする。行きたがったのは、最初の1ハロンだけ。鞍上がなだめるとすぐに折り合いがついた。今回もフルゲート18頭。レース序盤をプラン通り進められれば、大きなアドバンテージとなる。

(2)(脚を)ためる スタート2ハロン目からラップが10秒8-11秒5-12秒3と落ち着く中で、少しずつ前との距離を開けた。それだけ力みが取れてしっかり「ため」が利いている証拠。残り600メートルから再び11秒台に上がるが、ここでも追い出しを待つ余裕があった。速い流れの中でもポジションを落とさずに脚をためられる。この“貯金”が最後に効いた。

(3)(直線で)伸びる 4角を回った時は、先頭から3列目。前に3、4頭の壁があったが、外へ切り替えてワールドバローズ、ショウリュウレーヴとの間。狭いスペースを突いた。隣の馬のステッキにひるまない根性も見せて、抜け出すまでが早かった。近くに馬がいなくなってフワッとしたが、それでも2着とG1で戦えることを証明した。

東京マイルはスピードだけでは通用しない。好位で脚がたまるリッケンバッカーなら、長い直線で大駆けの可能性を秘めている。

条件替わりプラスでないバスラットレオン

<ニュージーランドT>

好スタートから先頭に立ったバスラットレオンが、直線も後続を寄せ付けず5馬身差で快勝した。前半1000メートル58秒5の単騎逃げ。上がりを34秒6でまとめられては後続も厳しい。ここ2戦で自分の形が出来上がった。ただ、今回はワンターンの東京。同型の有力馬も多く、マークはきつくなりそう。条件替わりはプラスとは言えない。

2着タイムトゥヘヴンは外枠で半馬身出遅れ。道中も外々を回っており、あの着差は詰まる。東京は新馬で4着。長い直線をどう克服するかだ。3着シティレインボーは内をうまく立ち回った。器用さはあるが力比べでは少し見劣る。6着ゴールドチャリスは大外からよく差を詰めた。脚質的にコース替わりはいい。

先行し根性生かす形合うルークズネスト

<ファルコンS>

逃げたルークズネストがゴール前で差し返した。前半600メートルを33秒7のハイペースで飛ばしており、頭差の着差以上に強い。差す競馬もできるが大跳びでそれほど切れるタイプではない。スタート次第だが先行して勝負根性を生かす形が合う。左回りは3戦3連対。東京替わりもプラスに働く。

2着グレナディアガーズは、直線前に出たがゴール前で鈍った。休み明けが影響したのかもしれないが、得意の1400メートルだけに物足りなさが残る。朝日杯FSのように内をロスなく回ってこられればいいが、1600メートルはぎりぎりの印象。9着ロードマックスは折り合いと集中力が鍵。10着ショックアクションは調教の良さが実戦で生きない。今回もどうか。

<アーリントンC>

1着ホウオウアマゾンは2番手で楽ができた分、しっかり伸びた。あの形が理想。4着ピクシーナイトは目標にされて苦しくなった。マイルは少し長い。逃げるか、控えるか。乗り方ひとつだ。

<桜花賞>

15着ソングラインは向正面で他馬にぶつけられたのがすべて。精神的な影響が心配だが、力を出し切ればG1でもやれる。

<弥生賞ディープインパクト記念>

2着シュネルマイスターは折り合って、2000メートルでも最後まで脚が鈍らなかった。マイルに短縮するのは歓迎。高速馬場への対応が鍵になる。

<スプリングS>

7着ランドオブリバティは早めに動かされて止まった。右回りはひと息。東京で良さが出れば善戦が可能だ。