瞬発力一級品ドゥラモンド/朝日杯FS

朝日杯FSは混戦ムードだ。重賞未勝利、初挑戦組にもチャンスはある。水島晴之の「前哨戦その一瞬」は、アスター賞を制したドゥラモンド(牡2、手塚)に注目。中山マイル1分37秒1の時計は平凡だが、一瞬にして前をとらえた瞬発力、余力十分のゴール前に大物感が漂う。

アスター賞を制したドゥラモンドとクリストフ・ルメール騎手(左)
アスター賞を制したドゥラモンドとクリストフ・ルメール騎手(左)

オンオフ切り替え上手ドゥラモンド

アスター賞のドゥラモンドは、中山1600メートルを1分37秒1で勝った。やや重で時計は平凡。ゴール前、2着イルーシヴパンサーに半馬身差まで詰め寄られた内容は物足りなく見えた。相手に恵まれたという声があるのも当然だが、着差が大きければいいというものでもない。手塚師は「最後は手応えに余裕があった」と振り返った。

とにかくオン、オフの切り替えがうまい。スタートが遅く、ルメール騎手は仕掛けていったが、向正面では後方2番手でしっかり折り合った。前半600メートルは36秒1。流れが遅くても掛からない。オフの状態で脚がたまるから、いざスイッチが入った時、素早い反応で切れる脚が使える。

4角ではかなり外を回りながら、残り200メートルで先行馬をのみ込んだ。大外ひとまくり。この瞬発力は一級品だ。坂上で2馬身突き放すと、再びオフへ。「名馬はゴールが分かる」と言われる。シンザンしかり、シンボリルドルフしかり。着差はわずかでも圧倒的な内容で勝つ。そしてゴールに入ればリラックス。ドゥラモンドも抜け出して力を緩めたあたり、走る馬に似た雰囲気がある。

闘争心もすごい。追い切りでもそうだが、前に馬がいるとかわそうとする。前走のゴール前で見せた“物足りなさ”は、逆に相手強化で補える。福島の新馬戦は3番手の積極策で押し切り。前走は後方から追い込んで勝った。まったく違う戦法での2連勝。重賞未経験でいきなりのG1挑戦だが、太刀打ちできるポテンシャルはある。

スピード非凡モントライゼ

<京王杯2歳S>

モントライゼが直線のたたき合いを制した。2番手で流れに乗ると、直線は早めに抜け出す形になったが、大外強襲ロードマックスの追い上げを首差退けた。スタートが速く、速い流れにも馬なりで対応するスピードは非凡。ただ、掛かりが良すぎる分、1600メートルへの延長はプラスとは言えない。

2着ロードマックスはメンバー最速の上がり33秒7で迫った。前半は少し行きたがっていたがうまくなだめて、しまいに脚を残した岩田望騎手の好騎乗も見逃せない。先行した新潟2歳S(7着)では伸びを欠いたように、前半いかに折り合えるかが鍵になる。馬の後ろでためがつくれる内枠がベストか。決め手はこのメンバーでも上位だ。

ポテンシャル高いレッドベルオーブ

<デイリー杯2歳S>

レッドベルオーブは、3角まで頭を上げて掛かったが、福永騎手が馬の後ろで我慢させた。直線は進路を探し内ラチ沿いへ。先に抜け出したホウオウアマゾンとのたたき合いを頭差で制した。1分32秒4のレコード。幼い面はあるがポテンシャルは高い。ホウオウアマゾンはしぶとい先行力が魅力。ただ決め手勝負は分が悪い。3着スーパーホープは先行有利の流れを、後方からよく詰めた。4角でも内へ行った勝ち馬に対して外へ。通ったコースを考えれば上位2頭と差はない。4着ビゾンテノブファロは最後方から直線勝負。上位馬と差はあったが、よく頑張っている。5着カイザーノヴァは、ワンペースの走りでややパンチ不足だ。

ステラヴェローチェ高速対応が鍵

<サウジアラビアRC>

後方待機のステラヴェローチェが、大外から直線一気に突き抜けた。4角最後方から2着に3馬身差。不良馬場を苦にしなかったこともあるが、強い内容だった。今回は高速馬場の阪神コースに替わり、速い時計への対応が鍵になってくる。

6着ビゾンテノブファロは相手なりに走るタイプだが、G1で勝ち負けとなるとどうか。9着ピンクカメハメハは気が良すぎる。マイルは少し長いかもしれない。