荒れ馬場ならワグネリアンの出番/宝塚記念

宝塚記念はダービー馬の巻き返しが怖い。水島晴之記者の「前哨戦その一瞬」は、大阪杯5着ワグネリアン(牡5、友道)に注目した。前が止まらない高速馬場で、狙った位置を取れなかったことが敗因。1列前で競馬ができていたら結果は違った。巻き返しの可能性を探る。

大阪杯で5着だったワグネリアン(右から3頭目)。左から2頭目は勝ったラッキーライラック
大阪杯で5着だったワグネリアン(右から3頭目)。左から2頭目は勝ったラッキーライラック
 
 

1角位置取りの差に泣いたワグネリアン

大阪杯はポジション取りが勝敗を分けた。2回阪神の4日目。まだ馬場の内が伸びるコンディション。いかに前半でいい位置を確保するか。ワグネリアンの福永騎手も気合をつけてゲートを出したが、隣のラッキーライラックの方が速かった。1コーナーで前へ入られ、思ったより1つ後ろに下げるしかなかった。

逃げるダノンキングリーに、外からジナンボーが続き、少し離れてクロノジェネシスが3番手。その内にラッキーライラックがつけた。ワグネリアンも前から数えて4、5番手の好位を追走したが、内ラチ沿いの並びは、前からダノン、ラッキーの後ろの3列目。動くに動けないこのポジションがレースを難しくした。

3、4コーナーでラッキーライラックが早めに動いてくれたら、ついて行く形で道はできた。しかしM・デムーロ騎手は逆に前との間隔を空け、脚をためた。この動きでワグネリアンは前詰まりの状態となり、外からまくってきた馬にもかわされた。直線に向いた時後ろから3番手。福永騎手が「もう1列前がほしかった」と悔やんだのは、そういうことだ。

上がり3ハロン34秒0は1、2着馬とほぼ同じ脚で、あの0秒4差は位置取りの差といっていい。もしラッキーライラックの前が取れていたら、勝つチャンスは十分あった。並びが悪かっただけで、5着という結果は気にしなくていい。今回は馬場が荒れてきた3回阪神の最終日。さらに距離も1ハロン延びる。ひと雨あれば「パワー型」ワグネリアンの出番はある。

ラッキーライラック追走余裕生んだミルコの好騎乗

<大坂杯>

1着ラッキーライラックはM・デムーロ騎手の好騎乗が光った。好スタートから3番手に控え、直線はダノンキングリーとジナンボーの間を割った。内めのいいポジションを取れたことで追走に余裕が生まれ、しまいも切れた。2着クロノジェネシスは正攻法の競馬で力を出した。勝ち馬との差は外枠と、早めに前を捉えにいった分だろう。ある意味、一番強い競馬をしている。

4着カデナは最後方から直線勝負に懸けた。直線も内ラチ沿いが開いたとはいえ、よく伸びた。こういう競馬が合う。7着ブラストワンピースは、行き脚がつかなかった。内有利の馬場で後方から外をまくる形では厳しい。4コーナーで先行集団に取り付くのがやっと。直線は伸びを欠いた。今回は1コーナーまでの距離が長い2200メートル。ポジション取りは楽になる。馬場が渋ってパワフルな走りが生きれば、一変の可能性がある。

サートゥルナーリア折り合い進境瞬発力生きた

<金鯱賞>

サートゥルナーリアが折り合いに進境を見せた。逃げたダイワキャグニーの前半1000メートルは63秒6。かなり遅いペースだったが、5番手の外で流れに乗った。1コーナーでサトノソルタスに外からかわされた時も、気負わずにリズム良く追走した。直線はルメール騎手の指示が出るまで加速せず、軽く仕掛けるとスッと後続を引き離した。上がり3ハロンは33秒2。完勝だった。これだけ落ち着いて走れば、自慢の瞬発力が生きる。不安があるとすれば、極端な道悪になった時だ。

スタミナ発揮しぶとい先行スティッフェリオ

<天皇賞・春>

3番手を進んだスティッフェリオが直線で抜け出し、ゴール前はフィエールマンとのたたき合いだった。最後は鼻差2着に敗れたが、スタミナを存分に発揮した。距離短縮はプラスとは決して言えないが、自分のリズムで先行すればしぶとい。5着トーセンカンビーナは2周目3コーナーからポジションを上げ、直線も良く伸びた。確実に力をつけている。6着キセキは1周目スタンド前で掛かった。少し気持ちが入りすぎており、スムーズに走れるかどうかだ。7着モズベッロ、9着ダンビュライトは2200メートル向き。8着メイショウテンゲンは道悪で浮上する。