逆転へ超進化サンライズソア/フェブラリーS

 今年のフェブラリーS(G1、ダート1600メートル、17日=東京)は6連勝中のインティ、菜七子騎乗のコパノキッキングなど話題は多いが、G1で地道に力をつけてきたサンライズソア(牡5、河内)の成長力も見逃せない。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、チャンピオンズC3着の走りに注目。これまでの逃げではなく1歩引いて、好位からしまいの脚を生かした。脚質転換の裏に隠された進化の秘密を探る。

チャンピオンズCで3着だったサンライズソア(左)
チャンピオンズCで3着だったサンライズソア(左)

ルヴァンスレーヴ相手外回って好勝負

<チャンピオンズC>◇12月2日=中京◇G1◇ダート1800メートル◇3歳上◇出走15頭

フェブラリーSに出走するサンライズソア
フェブラリーSに出走するサンライズソア

 チャンピオンズCは、最内の3番手で脚をためたルヴァンスレーヴが、直線あっさり抜け出した。この強い勝ち馬に半マイルから勝負を挑んだのがサンライズソアだ。

 昨年の平安Sは逃げ切り、JBCクラシックも逃げて3着に粘った。切れないがばてずにスピードを維持して粘り込む。大崩れはしない半面、G1級相手に勝ちみの遅さも目立った。だが、前走は同じ負けでも中身が違う。モレイラ騎手は好スタートから5番手に控える競馬を選択。勝ち馬を見ながら折り合いをつけた。

 3角過ぎで馬群の外めを進出。4角ではアンジュデジール、ヒラボクラターシュ、インカンテーションの外。馬場の四~五分どころを通って、一気に先行集団に取り付いた。逃げ馬の後ろで〝息を潜めて〟いたルヴァンスレーヴと、仕掛けながら外めを回ったサンライズソアとでは、消耗度が違う。それでも、いったん勝ち馬と並ぶところまでいったのは、しっかりと「ため」が利いていたからだ。

 早め勝負にいった分、3着まで落ちたが、以前ならもっと止まっていただろう。勝ち馬とは0秒4差。もし内外が逆ならどうだったか。勝てなくても、際どい勝負になっていたと思う。上がり3ハロン35秒9は、勝ち馬と0秒3しか劣っておらず「粘り」に「切れ」が加わったことを証明した。2着ウェスタールンドも、最後方から最内をロスなく伸びた馬だった。外を回った差し馬には負けていない。

 河内師は「追い切りやレースで大きく体を減らすことがなくなった」と言うが、馬体重の変動が、それを証明している。5走前から502キロ→506キロ→508キロ→514キロ→522キロ。しっかり結果を出しながらの体重増は充実の証しだ。ようやくG1で本気の勝負ができるところまできた。3戦すべて3着以内の東京マイルならチャンスはある。

長くいい脚オメガパフュームV

<東京大賞典>◇12月29日=大井◇G1◇ダート2000メートル◇3歳上◇出走16頭

直線抜け出して東京大賞典を制したオメガパフューム
直線抜け出して東京大賞典を制したオメガパフューム

 オメガパフュームは、長くいい脚を使って差し切った。エンジンのかかりが遅く、緩急の変化には弱いが、加速したらどこまでも止まらない。大井コースも合っていた。今回はマイルの速い流れ。直線に向くまでに、どれだけ〝貯金〟ができるかだ。2着ゴールドドリームは、直線で狭くなる不利もあったが、チャンピオンズCを回避した影響の方が大きい。勝ち馬との 3/4 馬身は逆転可能な差だ。

高速ペースでインティ圧逃

<東海S>◇1月20日=中京◇G2◇ダート1800メートル◇4歳上◇出走13頭

後続を突き放しゴールを目指すインティ
後続を突き放しゴールを目指すインティ

 インティが速いペースに持ち込み、そのまま押し切った。最後まで脚色が衰えず、1分49秒8の時計も速かった。逃げ馬に上がりを35秒台でまとめられたら、後続はお手上げだ。能力はG1でも通用するが、課題を挙げるなら、ワンターンのマイル戦。これまでは4つのコーナーでうまく息を入れていた感があり、本当の力勝負になった時に、どう対応するか。武豊騎手の手綱さばきにも注目したい。

すべて完璧コパノキッキング

<根岸S>◇1月27日=東京◇G3◇ダート1400メートル◇4歳上◇出走16頭

根岸ステークスで優勝したコパノキッキング
根岸ステークスで優勝したコパノキッキング

 コパノキッキングが、好位の外から末脚を伸ばした。カペラSで見せた切れ味は1400メートルでも鈍らなかったが、マーフィー騎手の好騎乗も見逃せない。ポジション取り、仕掛けのタイミングとも完璧。ただ、レース後「距離延長は微妙」とコメントしており、マイル克服、芝スタートが鍵。4着モーニンは復調気配。こちらは距離も合う。8着サンライズノヴァは乾いた馬場で末脚不発。湿ったダートなら巻き返し可能。