ゼーヴィント鋭く切れる!/宝塚記念

 サッカーW杯は19日、日本代表の初戦を迎える。そこで宝塚記念も、レース展開をフォーメーション(配置隊形)に見立て、勝ち馬を探ってみた。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、目黒記念6着の内容に復調を感じるゼーヴィント(牡5、木村)に注目。中盤からの鋭い切れ込みでゴールなるか。

距離短縮追い風 ゼーヴィント

<目黒記念>◇5月27日=東京◇G2◇芝2500メートル◇4歳上◇出走16頭◇

目黒記念6着も復調を感じさせるゼーヴィント
目黒記念6着も復調を感じさせるゼーヴィント

 目黒記念は位置取りが勝敗を分けた。逃げたヴォージュの前半1000メートルは推定1分1秒3。その後も12秒台のラップが続き、1600メートルは1分37秒4のスローペース。こうなると中団馬群に包まれた馬は動きが取れない。直線は内ラチ沿いに密集し、先行した1着ウインテンダネス、2着ノーブルマーズでさえ、抜け出すスペースを確保するのがやっとだった。

 そんな状況でゼーヴィントは9番手の内。進路を探すが前には4頭の壁。外はソールインパクトに押さえられ、もう1度中へ切り替えるも両サイドから締められた。ゴール前は戸崎騎手が手綱を引っ張って立ち上がる不利。それでも上がり3ハロンは最速タイの34秒0。突き抜ける手応えはあった。スムーズに前が開いていたら、もっと際どい勝負になったはずだ。

 後半1000メートルは58秒3のスプリント戦。前半に比べると3秒も速い。わずかなロスが致命傷になる。外めを不利なく進んだ3着パフォーマプロミスとは首+1/2馬身+首差。何度も進路を切り替えてトップスピードに乗れず、ハンデも1・5キロ重い57・5キロだったことを考えれば、内容は互角以上。逆転は可能だ。

 戸崎騎手は「もう少し前へ行くつもりが、もたついて後ろになった。まだいい頃に比べるともうひとつですね」。万全の状態ではなく、当然たたいた上積みも見込める。全7連対(4勝、2着3回)は1800~2200メートルに集中している。距離短縮が追い風になれば、鮮やかなゴールシーンが見られるかもしれない。

速い展開ならストロングタイタン

<鳴尾記念>◇6月2日=阪神◇G3◇芝2000メートル◇3歳上◇出走11頭◇

 ストロングタイタンは、M・デムーロ騎手の好騎乗が光った。マルターズアポジーが前半58秒2で飛ばす速い流れを、外枠から1コーナーで内ラチ沿いに誘導。コースロスを最小限に抑えた。道中はリズム良く進み、直線は逃げ馬と内ラチの狭いスペースを一気に抜けた。1分57秒2のレコード決着を考えると、コース選択が勝利を引き寄せたといっていい。瞬発力よりスピードの持久力に優れたタイプ。昨年7月のマレーシアCでもレコード勝ちがあり、速い展開で浮上する。