<ダービー>◇29日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳◇出走18頭

何度頂点を極めても心地いい。友道康夫調教師(58)が現役最多、84年のグレード制導入後でも最多となるダービー3勝目を挙げた。16年マカヒキ、18年ワグネリアンに続き今年は皐月賞3着馬ドウデュースで勝利した。デビューから手綱を任せた武豊騎手(53)は若かりし頃から憧れの存在。レース直後に秋は凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)に参戦し、日本のダービー馬が世界の頂点に挑むことも決定した。

3度目の頂点は、はっきりと見えていた。武豊騎手、松島オーナー、スタッフと喜びを分かち合った後の優勝会見。額に汗を浮かせた友道師は胸を張って言った。

「自信はありました」

現役最多のダービー3勝。皐月賞3着から会心の逆転を成し遂げた。弥生賞2着時から体重を8キロ絞った皐月賞3着後、さらに6キロも馬体を研ぎ澄ませた。「春になって負けはしましたが、内容は勝ちに等しい。東京で広いコースで力通り走ってくれれば、一番強いと思っていました」。装鞍所、パドック、返し馬。レースが近づいても、落ち着きを保つ管理馬の姿に頼もしさを覚えていた。

何度勝っても新鮮な喜びがやってくる。武豊騎手とダービーを勝った。年下だけど、憧れの存在。厩務員、助手として過ごした浅見国一厩舎所属時代に、若き天才と厩舎で談笑するのが楽しかった。「よく厩舎に遊びにきていたんだよね。競馬といえば、武豊。僕らの世代はみんなそう。ユタカの500勝目は僕が担当していた馬なんだ。ロイヤルタイムっていう馬なんですけど」。それから31年がたち、同騎手の4350勝目がダービー。「皐月賞の日も夜にオーナーが祝勝会を開くつもりだったんですけど、負けちゃった。そのときにユタカは『縮小会ですね』って。ウイットに富んでいて、人間性含めて本当に一流ですよ」。

魅了され続けるレジェンドにオーダーなんて必要なかった。最後まで冷静に見守るはずが、ゴールの瞬間だけは喜びがさく裂した。「最後はガッツポーズしていました。1人で。何回勝ってもいいですね」。4角の手応え、直線の伸びも格別。ダービーレコードでの勝利は、夢の続きを示してくれた。

レース優勝直後に凱旋門賞参戦も決定した。友道師は「皐月賞の後から、ダービーでいい結果を出せれば、秋はフランスに行きましょうという話が決まっていました。マカヒキ(16年14着)の時に悔しい思いをしているので、日本の悲願をこの馬で達成したいです」と海の向こうを見据えた。第89代ダービー馬ドウデュース。秋はパリロンシャンの地で輝きを放つ。【松田直樹】

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