<スプリングS>◇21日=中山◇G2◇芝1800メートル◇3歳◇出走15頭◇1~3着までに皐月賞の優先出走権

池添兄弟の笑顔が並んだ。池添謙一騎手(41)騎乗の3番人気ヴィクティファルス(牡)が直線大外から先行馬をぶち抜いた。勝ち時計は1分52秒0。弟の池添学師(40)の管理馬と11度目の重賞挑戦で、初めての兄弟重賞制覇となった。

今後は優先出走権を得た皐月賞(G1、芝2000メートル、4月18日=中山)参戦が有力。クラシックでも主役を担う。2着アサマノイタズラ、3着ボーデンまでが皐月賞の切符を手にした。

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自然と笑みがこみ上げてくる。顔がこわばる弟学師を兄謙一騎手は軽口でほぐした。「硬ぇよ! 笑わんか!」。レース後の記念撮影。その表情は、勝負師からお兄ちゃんにすっかり戻っていた。「すごくうれしいですし、もっと一緒に勝ちたいと思う」。弟の管理馬ヴィクティファルスで、初めて重賞を勝った。

大外一気でぶち抜いた。4角。外へ振られながら、高々と泥しぶきを上げて先行馬に迫った。「普段は風をすごく嫌がる馬」(学師)。鞍上は3週続けて追い切りにまたがり、返し馬で敏感な面も見抜いた。発馬は五分でも折り合い重視の中団待機。謙一騎手は「こういう馬場でも踏ん張って伸びてくれた」。余すことなく末脚を引き出した。

デビュー3戦目。阪神、東京、中山と全て違うコースで連対率100%をキープした。学師は「上手に乗ってくれました。周りの仕掛けが早くて、そこをワンテンポ遅らせて、いい乗り方でした」と手腕をたたえる。謙一騎手でこのレースを勝った11年オルフェーヴルは3冠馬へ。鉛色の雲に覆われた中山でクラシック制圧に光が差した。

皐月賞参戦即決は保留としたが、大きなダメージがなければ牡馬1冠目に参戦する。「古馬になってから期待をしていますが、今でも十分な結果を出してくれていますから。まだまだ奥はありますし、血統的にも楽しみな馬」と師。G1の大舞台でも兄弟の笑顔が並ぶかもしれない。【松田直樹】

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