<日本の夜明けぜよ(6)>

世界の名手に独占インタビュー! 凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)にフランスダービー馬ヴァデニ(牡3、JC・ルジェ)で参戦するクリストフ・スミヨン騎手(41)が日刊スポーツの取材に応じ、自身3勝目を狙う凱旋門賞への思いを語った。

仏リーディングを獲得すること10回という世界的名手が、コンビを組む相棒や警戒する日本馬について激白した。

   ◇   ◇   ◇

-騎乗する相棒ヴァデニについて

スミヨン ご存じの通り、フランスダービーの勝ち馬です。どの国のレースでも、ダービーを勝つのはすごいこと。前走の愛チャンピオンSではルクセンブルクに負けてしまったけど、この時も重馬場だったからね。道中はルクセンブルクをマークして、最後の直線で前が詰まったので内に入れた分、間に合わなかった感がありました。国内でも重馬場は経験済みだし、ここは何とかしたいですね。

-これまで03年ダラカニ、08年ザルカヴァで2勝。スミヨン騎手にとって凱旋門賞とは

スミヨン 僕は凱旋門賞を2勝しているけど、日本馬オルフェーヴルで12、13年と2年連続2着。種牡馬で有名なバゴが勝った04年も2着。そして、去年もタルナワで2着と、何か他のレースにない特殊な要因や、馬主、調教師にとっての運も左右するのかもしれません。世界最高峰のレースとして、本当に勝てそうで勝てない難しいレースです。世界のトップといわれるジョッキーが高いレーティングの馬に乗っても勝てない。馬券を買う人からすると、難解なレースかもしれないですね。われわれジョッキーからすると、どうやって乗るかの方針が直前までコロコロと変わるくらい悩むレースでもあります。馬場状態、枠順で全てが変わるロンシャンの舞台というのも悩みの種ですね。でも、こんなレースに騎乗できることを誇りに思い、今年もいい馬に乗れたと毎年、関係者に感謝しています。レース後は勝てなくても、すごいレースを楽しんだと思えるレースです。これは他のジョッキーも同じじゃないかな。

-舞台となるロンシャンの芝2400メートルについて

スミヨン 近年、凱旋門賞が行われる日の馬場はヘビーになることが多いけど、やはり後方から差して勝つなんてことは考えられない状況になることが多いです。ジョッキーは皆、いい位置がほしい。当然、一流のジョッキーばかりのレースなので皆、巧みに位置を取りにいきます。なので結局は、枠順で位置取りが決まってしまうことも多いです。位置取りのためにジョッキーが動くため、今まで掛かったことのないような一流馬でも、その動き方次第で引っかかることがあります。前に行くべき馬が行けないことも多いです。今年も今の天候と馬場の現状からして、日本でいう重馬場になると思うけど、日本の重馬場とは全く違う、まるで脚に地面がまとわりつく馬場です。タフなレースになるのは間違いないですね。

-史上最多の4頭が出走する日本馬の印象は?

スミヨン タイトルホルダーの天皇賞・春はレース映像を見て、これはすごいと思ったし、すぐにこの馬の父(ドゥラメンテ)がどの馬なのか調べました。なぜかと言うと、この種牡馬が日本でディープインパクトに続くリーディングサイヤーになるような気がしたからです。あんな走りができるなら、タイトルホルダーは怖い1頭ですね。あと気になるのはやはり、僕がよく知る友道先生の管理馬で、何よりロンシャンを知り尽くしている(武)豊さんが乗るドウデュースだな。前走のニエル賞(4着)は馬体が太かったのか、力は絶対にあんなものじゃないと思う。豊さんも考えて乗ると思うから、この馬も警戒したい1頭だね。日本馬のレベルの高さは間違いないけど、ロンシャンの重馬場は脚にまとわりつくような粘着質の馬場。その馬場への適応力の有無が最終ポイントかもね。ちなみに、オルフェーヴルはすごく適応してたんだけどな・・・。

-日本馬が凱旋門賞を勝つためのポイントは?

スミヨン 僕はもう何年も前から、日本馬のレベルは世界トップクラスだと思っている。だからこそ、日本に行ってそんな馬に乗りたいと思う。そんな日本馬のトップクラスがフランスに来るんだから、いつ勝っても全然不思議じゃないよ。でも、どうすれば、と聞かれてもなかなか難しい質問だね。日本馬が勝つのが難しいのではなく、その回答が難しいね。先に話したように枠順や馬場適性、そして運も必要だけど、騎手の腕も大事だと思う。凱旋門賞の特殊な雰囲気、ロンシャンの馬場とコースに適応しなければならないので、ジョッキーの経験値は大きなポイントでしょうね。過去の結果を振り返っても、レースで勝ってなくてもその当時のトップジョッキーが必ず上位にきていますからね。

◆クリストフ・スミヨン 1981年6月4日、ベルギー生まれ。97年に騎手デビュー。01年にG1初制覇。これまでフランスで10度のリーディングを獲得。JRAでは01年に初めて短期騎手免許を取得。JRA通算成績は358戦64勝。重賞8勝、うちG1は14年ジャパンC(エピファネイア)など3勝。

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