<世界へ挑む 侍ホースマン(4)>

凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)に出走する日本馬4頭の調教師、騎手を取り上げる連載「世界へ挑む 侍ホースマン」の第4回。

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ディープボンドと初コンビで挑む川田将雅騎手(36)は“特別なレース”の2つ目の制覇を狙う。幼少期より、佐賀競馬の調教師で父の孝好さんから「凱旋門賞とブリーダーズカップ(BC)は特別なもの」と教わってきた。昨年、ラヴズオンリーユーでBCフィリー&メアターフを制覇。自身4度目となる凱旋門賞でも勝利を目指す。

「凱旋門賞は日本においてこの数年、なおさらとても重要なレースになっています。日本競馬界にとっても、日本のファンにとっても、もちろん僕個人にも、とても大事なレースだと思っています」

ターニングポイントは13年。フランスで1カ月の武者修行を行った。結果は残せなかったが、そこから世界は広がった。翌14年には凱旋門賞に初騎乗。「そこからいろんな国に行かせていただいて、いろんなレースに乗せていただいた。本当にそういう経験の積み重ねで、ここにいさせてもらえてると思っています」。世界を知る鞍上の手腕はボンドの大きな力だ。

愛馬とともに2年連続の挑戦となる大久保龍志調教師(56)も凱旋門賞にかける思いは強い。03年の開業当初、憧れのレースには「凱旋門賞」と答えた。

「去年1回、チャレンジさせていただいた。勝つことは難しいと思うんですけど、チャレンジしないことには勝つことはできないので。これからも今回も全力でいきたいと思います」

海外遠征は16年香港ヴァーズのスマートレイアー(5着)に始まり、チュウワウィザードではダート世界最高峰のドバイワールドCで21年2着、22年3着。ボンドでは昨年、前哨戦フォワ賞を制した。スタッフと挑戦を続けることでノウハウは蓄積され、次へ次へと経験がつながっている。

「そういう知識もあったので、スタッフもそこまで構えずにね。海外競馬も初めてのことじゃないですし、それは頼もしいなと思います」

川田騎手と大久保師。経験豊富な鞍上とトレーナーがボンドの力を引き出すに違いない。【奥田隼人】

◆大久保龍志(おおくぼ・りゅうじ)1966年(昭41)1月6日、北海道生まれ。父は大久保正陽元調教師。01年に調教師免許を取得、03年開業。07年菊花賞(アサクサキングス)でJRA・G1初勝利。JRA通算5064戦544勝。重賞23勝、うちG1・3勝。

◆川田将雅(かわだ・ゆうが)1985年(昭60)10月15日、佐賀県生まれ。04年に騎手デビュー。08年皐月賞(キャプテントゥーレ)でG1初勝利、16年にマカヒキでダービー初制覇。今年も桜花賞(スターズオンアース)を勝つなどJRA118勝でリーディング首位(29日現在)。JRA通算1801勝。重賞115勝、うちG1・20勝。

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