<追い切りの番人>

G1週の有力馬の動きのチェックは新企画「追い切りの番人」にお任せ。担当記者がG1出走馬の追い切り、調整過程を深掘りして、注目馬の取捨に迫る。

記念すべき第1回は東京・松田直樹記者が、スプリンターズS(G1、芝1200メートル、10月2日=中山)で初の1200メートル戦に臨むシュネルマイスター(牡4、手塚)をジャッジ。現役屈指のマイラーは、毎週日曜の坂路調整の時計を詰めることで、メンタルを“短距離仕様”に近づけた。

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隊列は1週前と同じ。シュネルマイスターは中フロムナウオン(2歳1勝クラス)、外マイネルファンロン(古馬オープン)を追う最後方にいた。調教役の嶋田騎手が軽く促すだけでギアが上がる。5ハロン67秒9-11秒5で中と併入、外に3馬身先着した。派手に動かさなくても走るのがG1馬。鞍上は「追うごとに良くなる馬。今日もいい感じでした」と話した。手応え、反応は週を追うごとに良化をたどってきた。

短距離仕様に“近づけた”。これがシュネルの現在地だろう。秋の大目標がマイルCSであるため、完全にスプリント戦へと振り切った調整ができない事情はある。昨秋と同じく毎日王冠が始動戦でないのは重量、ダメージ、間隔を加味したため。陣営は葛藤の中でも初の1200メートル起用に対応すべく、手を打ってきた。

毎週水曜の追い切りはよく動く。工夫が見られるのはそれまでの過程だ。手塚師は「微妙なさじ加減でやっている」と味付けの中身を明かす。毎週日曜の坂路追い。春までは4ハロン56~57秒台だった登坂を意識的に2秒ほど時計を詰めてきた。この中間は全てが同54秒台。「馬にやる気になってもらいたくて」。放牧先でも乗り込んだ上で、前向きさを引き出した。嶋田騎手も「気が入っているというのはあります。ハミの取り方も違う」と一定の手応えを示す。

あとは体調面でどこまでカバーできるか、というところ。休み明けでも出来は前走の安田記念2着以上。手塚師は「思い描いていた通りの手応えと動き。最後は脚を使ってくると思う」と話す。1200メートル初挑戦の馬は過去10年のスプリンターズSで【0  0 0 4】と未体験の激流にあえぐ結果が続くが、過去の参戦馬の中でも実力はトップ級。坂路効果で隊列から置かれず追走できれば、上位に食い込む可能性大だ。【松田直樹】

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