<日本の夜明けぜよ(2)>

ロンシャンの直線を1人旅! 凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)の取材に出張中の大阪・奥田隼人記者が連載「日本の夜明けぜよ」で、タイトルホルダー(牡4、栗田)を生産した岡田スタッドの岡田牧雄代表(70)を直撃した。

菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念とタフなG1を徹底先行のストロングスタイルで3勝。日本の古馬最強として悲願に挑むその戦法は、外国馬がついてこられない“快速逃げ”だ。

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-タイトルホルダーで凱旋門賞に挑戦する

岡田代表 ヨーロッパと日本の競馬は合わないという提言をしていて、ここ10年くらい、私の中ではヨーロッパというイメージはなかった。それが今、日本は凱旋門賞、凱旋門賞ってすごいからね。勝手に“凱旋門賞狂想曲”って言ってるんだけど、この狂想曲を早く終わらせたいなと。1つ勝てば収まるから。勝てないでずっと挑戦しているのは事実だし、日本の馬は今、世界で一番強い。われわれ日本人が言うよりも、海外がそれを認めているからね。

-海外から買い付けた母メーヴェの血統背景は凱旋門賞において魅力

岡田代表 モンジュー(母の父の父=99年凱旋門賞馬)もそうだけど、シャーリーハイツ(母の母の父=78年英愛ダービー馬)も入っているし、その父のミルリーフ(71年凱旋門賞馬)という種馬が好きでね。無駄肉がなくて、長く使える血統。それが入っているのは大きかった。メーヴェが日本に着いた時、(管理予定の元調教師)栗田博憲さんに「長距離馬で、日本で絶対にやれるよ」ってすぐ電話したもんね。

-鞍上には横山和生騎手を継続して起用する

岡田代表 日本で一緒に頑張ってきたジョッキーが鞍上にいるのが理想型だと思っている。横山家の一番いいところは、体内時計が優秀ということだと思っている。それと、同じ間違いを繰り返さないと思っているので。いい馬に乗せれば乗せただけ、ステップアップしていく。人間もそうだけど、馬も良くなっているのがタイトルホルダーを見て分かる。だから、彼を替えようとは思わない。

-レースの印象は?

岡田代表 タフな競馬で、我慢比べなのが凱旋門賞だと思っている。そんなタフな競馬は日本にはない。だから完全に10馬身、20馬身ぶっちぎって、海外の馬がついてこられない状態にしないと、日本から凱旋門賞馬は出ないんじゃないかと。消耗戦なら勝てっこない。日本のスピードで負かしにいくしかない。

-逃げ馬の勝利は96年エリシオ以来ない。理想の展開は?

岡田代表 和生くんには、とにかく馬がリラックスしてストライドが5センチでも10センチでも伸びるような、この馬の一番いいストライドで走れるラップで行けと言っているだけ。この馬についてくる馬はいないだろうし。タイトルホルダーはまだそんなに走ってないけど、重馬場の鬼だと思っている。だから、ああいう(ヨーロッパの重い)馬場は合うと思う。ずっと関わってきて、持って生まれた心肺機能がすごいんだと思うし、異次元のスタミナを持っていると思っている。だから最初からある程度飛ばして、同じペースで行けと。そうすると、他の馬がついてこられないから。この馬がバテるイメージはない。

◆岡田牧雄(おかだ・まきお)1952年(昭27)5月14日、北海道静内町(現新ひだか町)生まれ。父蔚男(しげお)さん(故人)が「岡田蔚男牧場」を創業。ミホランザン(73年朝日杯3歳S優勝)などを生産した。次男として引き継ぎ84年に「岡田スタッド」に改称。生産馬初のG1制覇はマツリダゴッホ(07年有馬記念)。マイネル軍団の元総帥で昨年死去した繁幸さんは実兄。

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