日英G1馬ディアドラ(牝6、橋田)が凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=仏パリロンシャン)で集大成の走りを見せる。昨年3月から異例の長期海外遠征。今年はコロナ禍に振り回されながら転戦してきた。連載「リモートde凱旋門賞」で、管理する橋田満調教師(68)にスポットを当てる。

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今週に入り橋田師は、約7カ月ぶりにディアドラの姿を生で見た。渡英して滞在先のニューマーケット調教場で対面。「日ごとに良くなってきていると思う」と手応えを口にした。武豊騎手と同じく、現状では帰国後に2週間の隔離を求められる。昨春から1年半にわたる長期遠征。異例の挑戦のクライマックスへ、満を持して海を渡った。

まさに「リモート」で調教してきた。コロナ禍で簡単に行き来はできない。日本から現地の込山助手や息子の宣長助手と連絡を取り合い「毎日、現地から調教映像を送ってもらっている」。以前から調教師席でパソコンを開いて調教内容を入力するほか、坂路の映像を録画して取り込むなど、デジタル技術に精通しており戸惑いは少なかった。

海外勢と情報戦を繰り広げてきた。欧州では故障以外の理由で当日に出走を取り消すことも可能。メンバーや馬場を見極めて出否を決める。ローテーションについては「駆け引きがあるのでまだ発表できない」と煙幕を張ることもあった。

コロナ禍に振り回されながら、ディアドラはけなげに戦い続けてきた。今年は凱旋門賞を大目標に掲げてきたが、春先にはロックダウンの影響でレースが二転三転。当初の計画にあったパリロンシャンでの“試走”もかなわなかった。

「なかなか勝てないレースが多いけど(欧州は)コースが日本とは別物。それに対応して、日本馬の可能性を見せてくれている」

ついに集大成の大一番を迎える。前走ナッソーSで最下位に沈んだ後は前哨戦を挟まず立て直した。現地では単勝オッズ50倍以上の低評価。それでも今年唯一の日本馬として、意地とプライドを見せたい。【太田尚樹】

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