先週の日曜(22日)に行われた香港ダービー(芝2000メートル、シャティン)は史上類を見ないドラマチックな幕切れとなりました。

向正面で14頭が縦長になった馬群の最後方付近に位置した本命馬ゴールデンシックスティー(せん4、父メダリアドーロ)とほぼ同じポジションにいた最低人気(単勝290倍)のプラヤデルプエンテ(せん4、父エルザーム)が、ゴールまで800メートルを残して大外から一気にまくって出てレースをかく乱。

最終コーナーであっという間に最内に切れ込んで直線粘り込もうとするところに、大外からゴールデンシックスティーが強襲。ゴールで首だけかわして劇的な勝利を飾り、17年のラッパードラゴンに次ぐ史上2頭目の4歳3冠を成し遂げました。良馬場の勝ちタイム2分00秒15は、18年にピンハイスターが記録した2分01秒18を1秒以上も上回るダービーレコードです。

ゴールデンシックスティーは地元はえぬきのK・W・ルイ厩舎に所属し、同じく香港ローカルのヴィンセント・ホー騎手が全レースに騎乗。昨年3月にデビューして、これで11戦10勝となりました。

僅差で涙をのんだプラヤデルプエンテはアイルランドで4戦3勝(勝ち鞍はすべてオールウエザートラックでのもの)のあと移籍。香港では7戦1勝で、全く人気がありませんでしたが、B・シン騎手のイチかバチかの騎乗が眠っていた才能を揺り起こしたようです。

シリーズ初戦の香港クラシックマイルで2着、続く香港クラシックカップで3着だったモアザンディスが、ここも3着を確保。直線大外を追い上げて7着したデクリプトまでが、ピンハイスターのレコードを上回るタイムでの入線で4歳世代のレベルの高さをうかがわせる結果となりました。

上位馬はそろって来月26日に行われる国際競走のクイーンエリザベス2世C(G1、芝2000メートル)に駒を進める予定。香港の中長距離路線は6歳馬のエグザルタントが支配していますが、勇躍スターダムに駆け上がったゴールデンシックスティーと、くせ者プラヤデルプエンテからも目が離せなくなっています。

【奥野庸介】(ターフライター、ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)

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