「キナミの帝王」木南友輔が未開のサウジアラビアへいざ-。サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われる第1回サウジC(ダート1800メートル、29日=日本時間29日26時40分発走)が迫ってきた。1着賞金約11億円の超高額レースに米国、UAE、欧州、地元のトップホースが集結。日本からは6戦無敗の最優秀ダート馬クリソベリル(牡4、音無)、G1・5勝のゴールドドリーム(牡7、平田)が史上初のサウジ遠征を敢行する。

日本とは時差6時間、中東の大国サウジアラビアで新たな競馬イベントが産声を上げる。賞金総額2000万ドル(約22億円)、1着賞金1000万ドル(約11億円)のサウジC。ドバイWCの賞金総額1200万ドル(約13億2000万円)、1着賞金720万ドル(約7億9200万円)を大きく上回る超高額レースだ。

数年前から創設の機運は高まっていたが、昨年8月に米国で正式発表。サウジアラビアジョッキークラブ会長のサルマン王子は「間違いなく競馬史における重要なイベントになる」とぶち上げた。

その後、ダートコース(左回り、1周2000メートル)しかないキングアブドゥルアジーズ競馬場の内馬場に新たに芝コースを新設し、芝競走を行うことが発表された。すでに完成し、先月末にはデットーリ騎手など世界の名手を集めた試走会も行われている。1カ月後の3月末のドバイWCに向けたステップレースとしても十分な間隔がある。さらに先月15日に日本とサウジ間の動物検疫協定が締結されたことで、日本馬の遠征も可能となり、日本から遠征する4頭はいずれもドバイへ転戦する予定だ。

クリソベリル、ゴールドドリームで生産馬2頭出しのノーザンファーム吉田勝己代表は言う。「普通に走ればマキシマムセキュリティは断然でしょう。実力は抜けていると思います。日本の馬は5着に入れれば。5着でも1億円以上の賞金ですから」。サウジCの前日28日に行われる騎手招待競走でサウジ初騎乗の武豊騎手は15カ国以上での騎乗経験があるが、「楽しみですよ。まだ乗ったことのない国。ジョッキーもすごいメンバーがそろっていますからね。光栄です」と期待に胸をふくらませる。

昨年の海外G1で日本調教馬が年間最多8勝を挙げたが、今回はすべてが手探りのサウジ遠征。ライブリマウントが挑んだ96年第1回のドバイWCは米国の最強馬シガーが制した。果たしてサウジCを勝つのは? まさに世界が注目する一戦だ。【木南友輔】

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