発見! 世界こんなところに日本人騎手が-。米国の年度代表馬を決めるエクリプス賞が23日(日本時間24日)に発表され、カナダを拠点にする木村和士(かずし)騎手(20)が「最優秀見習騎手賞」を受賞した。日本人、日本馬のエクリプス賞各部門の受賞は史上初。JRA競馬学校を自主退学し、海を渡った若者が世界の名手への道を突き進む。

前人未到の地を日本競馬未経験の日本人騎手が踏みしめた。「カズシ、キムラ」。名前を呼ばれると、あどけない表情の若者がフロリダ州マイアミの北方約30キロメートルのガルフストリームパーク競馬場特設会場の壇上に上がった。「一緒にハードワークしてくれた代理人、調教師、アシスタントトレーナー、オーナー、感謝を申し上げます」。感極まって一瞬沈黙するシーンもあったが、最後まで英語でスピーチを読み上げると、拍手喝采。日本人では初めてのエクリプス賞トロフィーを手に笑顔を浮かべた。

日本のJRA賞に相当する北米のエクリプス賞、プロ野球で言えば新人王に該当する「見習騎手(アプレンティス・ジョッキー)」部門。「(スピーチは)緊張しました。緊張しました。素直にうれしかったですし、つらかったことを思い出して、ウルッときました」。授賞式を終えると、ホッとした表情を浮かべた。

山あり谷ありの人生だ。ジョッキーを目指し、東京競馬場で行われたジョッキーベイビーズ(子どもたちによるポニー競馬競走の全国大会)にも北海道地区代表として11年に出場した経験を持つ。15年4月にJRA競馬学校騎手課程に入学したが、「自分が未熟でルールに従えないところがありました」。17年春に自主退学した後はカナダでジョッキーを目指した。

英語を満足に話せず、最初は騎乗馬もなかったが、腕を磨き、18年には104勝を挙げ、拠点にするトロント郊外のウッドバイン競馬場関係者の信頼を勝ち取った。18年はカナダ競馬の年度表彰「ソヴリン賞」の最優秀見習騎手賞を受賞。昨年はカナダでリーディング3位の148勝を挙げた。日本人騎手では初めて英国のエリザベス女王の所有馬に騎乗する栄誉もつかんだ。年始に発表されたエクリプス賞の最終候補3人に残り、米国、中米で活躍する若手のライバルを見事に抑えた。

「来シーズンはカナダのリーディングを取りたいですし、大きいレースを勝ちたい。アメリカは(距離的に)すぐそこです。ビザさえあれば乗ることができる。(アメリカ競馬の祭典)ブリーダーズカップもそうですし、大きいレースにも挑戦したいです。(日本の騎乗は)通年免許は考えていませんが、短期免許で騎乗依頼をいただけるようなら行ってみたいですね。今は世界中のいろんな場所で乗ってみたいんです」。アメリカの競馬史に名前を刻んだ木村はまだ20歳。世界一の名手へ・・・、希望に胸をふくらませている。

◆木村和士(きむら・かずし)1999年(平11)9月6日、北海道生まれ。父忠之氏が浦河町で競走馬の育成牧場「NO・9(ナンバーナイン)ホーストレーニングメソド」の代表を務め、幼い頃からポニーにまたがる。身長163センチ、体重48キロ。趣味は「馬に乗ること。英語の勉強を兼ねて映画を見ること」。よく見る映画はデッドプール(米国のコメディー映画)。

◆エクリプス賞とは 米国競馬の年度代表表彰で、NTRA(全米サラブレッド競馬協会)、全米競馬記者協会、デイリーレーシングフォーム紙の記者などの投票で各部門が決まる。英国の歴史的名馬エクリプスに由来する。

「最優秀見習騎手」部門の歴代受賞者には89年のサンデーサイレンスなどBCクラシックを5勝、88年ジャパンCをペイザバトラーで制し、通算勝利数は7000勝超のクリス・マッキャロン(74年受賞)。キャッシュ・アスムッセン(79年受賞)は81年の第1回ジャパンCをメアジードーツで制覇し、フランスの凱旋門賞も制した。ケンタッキーダービー3勝のケント・デザーモ(87年受賞)、WASJで来日したエマジェーン・ウィルソン(05年受賞)やジュリアン・ルパルー(06年受賞)がいる。

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