<フローラS>◇21日=東京◇G2◇芝2000メートル◇3歳牝◇出走18頭◇2着までオークス優先出走権

3番人気ウィクトーリア(小島)がゴール前で鼻差差し切り、重賞初勝利を挙げた。勝ちタイム1分59秒5。

母ブラックエンブレムは08年秋華賞馬で、小島茂之調教師(51)に初のG1勝利をもたらした思い入れのある血統。同馬の子での重賞制覇は14年札幌2歳S(ブライトエンブレム)以来になる。戸崎圭太騎手(38)は現役12人目のJRA重賞50勝目を飾った。

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スタートの瞬間、小島師は半分あきらめていた。ウィクトーリアが出遅れたからだ。これまで勝った2戦はいずれも逃げ。今回も逃げる作戦だったが、ゲートのタイミングが合わずに遅れた。もう逃げることは難しい。負けを覚悟した。

戸崎騎手はあきらめていない。出遅れは想定外だったが、調教では折り合いはしっかりついていた。逃げなくても好走できると信じた。すぐに気を取り直し、折り合いに専念。直線で外に持ち出すと、上がり最速33秒2の末脚がさく裂した。離れた内から伸びる2着馬を鼻差制して、トップでゴールを駆け抜けた。

小島師は「騎手が臨機応変に対応してくれた。行かなければ駄目だと思っていたけれど」と勝利を喜んだ。母ブラックエンブレムは08年秋華賞を勝ち、厩舎に初のG1勝利をもたらした馬。ウィクトーリアも含めその子6頭すべてを管理した。「勝った後のうれしさが違う。きょうだい1つ1つ積み上げたものがありますからね」と感慨深げだ。思い入れのある血統で、重賞制覇とG1出走権をもぎ取った。

馬の状態が良ければもちろんオークス(G1、芝2400メートル、5月19日=東京)に進む。「せっかく権利を取ってくれたし、騎手に(2400メートルは)持つか聞いたら、『行くしかないでしょ』と言われた」と苦笑した。母が果たしたG1制覇。その道程をウィクトーリアも歩んでいく。【三上広隆】

▽戸崎騎手 素晴らしい馬だった。追い切りでもフットワークの良さを感じていた。逃げてという作戦だったが、まさかの出遅れ。やってしまったと思ったが、最後はすごくいい脚を使ってくれた。これだけいいパフォーマンスを見せたし、良血馬。さらなる成長を期待したい。

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